唯一無二の美しい幻想世界に、余韻が長く続く物語でした。
宮沢賢治氏の作品は短編のものが多いですが、私は読むのに時間が掛かってしまいます。
あまりに私の感覚とはかけ離れた幻想世界の描写の連続に、ついて行けなくなるからです。
「インドラの網」はこれでもかと言わんばかりの美しい情景の数々に圧倒され、読み進めるスピードはさらに遅くなってしまいました。
思考が追い付かないのがありますが、博物館でも見どころの多い所では足取りがゆっくりとなるのと同じで、じっくりと噛みしめたくなるのでした。
唯一無二の宮沢賢治氏の美しい幻想世界が、凝縮されているようでした。
「ごらん、そら、インドラの網を」
「ごらん、そら、風の太鼓」
「ごらん、蒼孔雀を」
物語は最後に夢と現実との境界線を越えた主人公が、しだいに現実に戻ってきたような感じに映るのですが、夢と現実が何気に交錯している感じが好きでした。
「インドラの網」は、インドラ神(仏教では帝釈天)の天の宮殿を飾っている網のことで、全ては無限に繋がっていて影響し合っているということを表しているものですから、この物語は夢と現実との境目がくっきりと区切られておらず、全ては宇宙的な目で見たら繋がっているという発想から、どちらとも言えるような面白い表現になったのかなぁ~と思いました。
余韻が長く続きました。
無料の電子図書館「青空文庫」について
インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。
「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。
著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。
日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。
様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。
実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。
〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。
良い発見をしました。
HanaAkari