天国に行くには「ただいま」と言って、この世を去ることが出来るかどうかなんだって!シンプルなだけに難しいような…
人はただ肉体だけの存在ではないという考え方は、当たり前のことのように知られている反面、実際にその知識が自分のものになっているかと問われると、私は自分自身に疑問です。
どれだけ肉体の殻を脱ぎ捨てるだけなんだと諭されても、実際にその直前になると恐怖に怯えるだろうという気がします。
ただ何の知識もないよりは、このような漫画などで免疫を付けている方が、幾分「死」との向き合い方も変わるだろうと期待しています。
執着を捨てて「ただいま」と言って、帰ることが出来ることが大切なんだとか…

母がガンで亡くなった際のことです。
ガンを患って余命幾ばくも無いと告げられた時には、何一うろたえなかった母が、亡くなる前日「なんでか知らんけど、凄くこわいねん…」と私にこぼした言葉を思い出します。
母は次の日に亡くなったのですが、自分の命が尽きるのを何となく感じ取っていたのでしょう。
次の日に亡くなったのですが、病院から「もう最後が近い」という連絡を受けて駆け付けた家族の中で、その時に間に合ったのは私だけでした。
母は末期の肺ガンでしたから呼吸が苦しくて、私は手動の人工呼吸器であたふたしながら空気を送ってあげることしか出来なかったのですが、「あ、もう最後だ」「命が尽きる」というのがなぜか分かりました。
天を見上げていた母の目に驚きの色が浮かび、明らかに目が何かを追って見ているのです。
もちろん私には病院の天井しか見えませんでしたが、「お迎えが来たのか?」そんな風に感じたのでした。
そのまま穏やかな顔で息を引き取りました。
この漫画の中でも「孤独死は無い」必ずお迎えが来てくれるといった内容がありましたが、まさにそのように感じた出来事でした。
ただ、後日私がこのようなことがあったと周囲の人に話すと、ご自身が生死の際を彷徨って「三途の川」を渡りかけた体験をしたことがある伯母でさえも、「みんな最後はそんな感じになるんだよ、生理的な現象だよ」と発言したので驚いたことがあります。
何も伯母が悪いというのではなく、それ程に目に見えないものを信じきることが難しいのだという風に感じます。
出来ればこの漫画の登場人物のように「ただいま」と自然に言いたいものです。
伯母は心臓の疾患で倒れ緊急手術を受け、生死の際を彷徨ったそうですが、その時に起こった出来事も面白かったです。
暗闇の向こうに扉があり、その扉の向こうに行こうと思い歩き出したら、亡くなったお爺さん(伯母の父)が黄金色に輝きながら上の方から降りてきて、無言で行く手を遮られたそうです。
そこで立ち止まり冷静になって周囲を見回すと、凄い形相の鬼が睨みを利かせ今にでも飛びかかろうとしているので、恐怖のあまり走って逃げだした。
とにかく訳も分からず我武者羅に逃げていると、目の前に自分が入院している病院があり、窓に飛び込んだら自分の病室だった。
そこで意識を取り戻したそうです。
「今じゃないよ」と「死」から追い返されたのでしょうか?
看護師さんが聞いていた伯母のうわ言の内容が、伯母のその体験と完全に一致したそうで、不思議だな~なんて言ってましたね。
看護師さんによると、生死の境にある患者さんにはそのような出来事は頻繁にあるのだそうです。

湯川秀樹博士「素領域理論」から考えた「生と死」の捉え方が興味深かったです。
生きている間は「肉体」と「魂」は重なり合っているのだが、「肉体」が死んでも「魂」は死なない。
死んだ後の「魂」は大いなる源であるワンネスに戻り、そこで記憶を手放して再び転生する。
記憶に執着して手放せないでいるとワンネスに行けないから、死の間際は何も考えずに「ただいま」と言おうですって…真相は分かりませんが素敵な意見だと思います。
ワンネスに行けないというのは、いわゆる成仏できないということと繋がるように思います。
今ではこのように感じますが、素直でない私はこの漫画を読んだだけで、いきなりそのように思えることは無かったでしょう。
ただ実体験でこの話と結びつくような出来事があったから、たぶんそうなんだろうと思えます。

あるスピリチュアル系の集団瞑想を経験した時でした。
気が付けば私は天に向かって移動していました。
私の周囲には絵でよく見るような膨大な数の魂が、オタマジャクシのように同じように天に向かっていました。
そこで気が付いたのは、私もたぶん魂の状態なんだということです。
向かう先は白っぽい太陽なような大きな光で、音はなく静謐でうすら明るいモノクロの世界でした。
ただ静かに数多の魂のようなものが、天の光に向かっている。
私は途中で肉体が胸の辺りから一緒に持ち上がっていくような感覚がして、胸に痛みを感じ怖くなって正気に戻ったのですが、あの体験はもしかしたら大いなる源に戻って行く時の予行演習だったのではないのだろうか?と思います。
でも実際にそうだったとしたら味気ないですし、伯母のように三途の川を渡るというのも古めかしくて、ちょっと遠慮したいなぁ~なんて思います(笑)
もしものことですが、私は銀河鉄道に乗って、星のように煌めく蛍の光の海を渡って行けたら素晴らしいのになぁ~、今はそんな風に思っています。

HanaAkari