旅の玉手箱【ターバンの人は少ない】〈インド雑学編-2〉

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このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。

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【ターバンの人は少ない】意外な事実|旅の玉手箱 インド雑学編-2

【ターバンの人は少ない

私はインドに行く前は無学から、インド人はみんなターバンを着用しているものと思っていました。

ただ実際にインドに行ってみると、ターバン姿の人を見る方が珍しいことでした。

西洋人が日本のことを侍、忍者、着物、芸者、エトセトラ…とイメージするのと同じ理屈だったと思います。

幼少期に日本で見ることがあったインド人の姿がターバン姿でしたので、「インド人=ターバン姿」と思い込んでいたのです。

馬鹿なことですが、恐ろしいことです。

ただ日本と事情が違っていたのは、日本人が着物を着なくなったのは時代の流れですが、インドではそういった事情ではなく、ターバン着用は特定の人々の風習だったということです。

ターバンを着用するのは「シーク教」を信仰する人々の風習で、男性に限られていました。

シーク教徒の人口は全体の約2%ほどですから、割合にすると凄く少ないものです。

シーク教徒
シーク教徒

「シーク教徒」はデリーの北西パキスタンと国境を接するパンジャーブ州に多くいますので、デリーでは結構目にすることがありましたが、他の地域に行くとほとんど見かけなくなりました。

宗教上の理由で髪の毛を切ってはいけないので、ターバンを巻いて纏めているとのことですが、ターバンの下に別の黒い布の中に髪を収めてから、その上にターバンを巻いているようでした。

印僑と呼ばれ昔から海外に出て商売をするインド人にシーク教徒が多かったことから、海外ではターバン=インド人というイメージが強くなったと聞きましたが、私なんかは子供時分に見た〈タイガージェットシン〉というプロレスラーや、インド人に関係する本の挿絵なんかが強く影響していました。

シーク教徒
思い込みのインド人

こういったものは情報が限られていた時代に育った世代の愛嬌でしょう。

情報というものの大切さと、恐ろしさをこんなところからも改めて感じます。

あとシーク教徒以外のターバン姿は、マハラジャの写真や絵、そしてインドの砂漠地帯ラジャスタン地方で見かけました。

マハラジャのターバン姿はシーク教徒のターバン姿と似ていますが、砂漠の民のターバンの巻き方は違っているようでした。

ピッコロ大魔王のターバンの巻き方が近いと思います。

灼熱の砂漠の熱波から頭を守るためのターバンなのでしょう。

ラジャスタン
ラジャスタニー

インドの文化、風習は宗教と深いつながりがあることが多くあります。

日本人からするとインドは宗教色が強い国だと思います。

現在はインド人の8割はヒンドゥー教徒ですので、大まかにはヒンドゥー教徒の国と言っても過言ではありませんが、インドの面白いところは他の宗教も混在しているところでした。

ヒンドゥー教徒〈インド人口の約80%〉

バラモン教から、よりカジュアルで庶民的に形を変えたヒンドゥー教。

多種多様の神々が独特で魅力的でした。

非常に人間臭く俗っぽい神様の逸話も楽しいですし、真剣に日々祈りを捧げる人々の姿には考えさせられるところもありました。

ヒンドゥー教徒の大半はベジタリアンですので、インド人の大半はベジタリアンになります。

イスラム教徒〈インド人口の約14%〉

12世紀頃から西方よりイスラム国家がインドに進出してきてからムガール帝国が終焉する18世紀頃までは、イスラム国家の支配下にありましたから、インドにはイスラム建築も多くありました。

有名なのが「タージ・マハル」です。

イギリスの植民地時代を経て、インドが独立する時にイスラム教徒の多く住む地域は「パキスタン」と「東パキスタン(現在のバングラデシュ)」として別の国になりましたので、インドのイスラム教徒は14%ほどです。

タージマハル

シーク教徒〈インド人口の約2%弱〉

インド人と言えば〈ターバン〉だとイメージされる方は多いのではないでしょうか?

実際は〈ターバン〉を着用しているインド人は一握りしかいませんでした。

それがシーク教徒の男性です。

それ以外ですと砂漠の民やマハラジャの絵とかで見ました。

シーク教徒は戒律が厳しく、勤勉な方が多いと聞きました。

〈ターバン〉は戒律の一環で着用しているようです。

シーク教徒はインド北西部にありますパンジャーブ州に多く、同州にある〈アムリトサル〉にはシーク教の聖地〈ゴールデンテンプル〉があります。

ジャイナ教徒〈インド人口の約0.4%〉

非常に戒律が厳しい格式高い宗教。

インド中西部グジャラート州〈パリタナ〉に聖地がありました。

インド人の知人にジャイナ教徒の方がいましたので、少しジャイナ教のことを教えてもらいましたが、厳格なジャイナ教徒は呼吸をする時に虫を吸い込んで殺してしまう可能性があるので、いつも口を白い布で覆っていると聞きました。

もちろんベジタリアンなのですが、根菜は収穫する時に土の中の虫を傷つける可能性があるので食べないそうです。

知人はそこまで厳格なスタイルでは無かったですが、「インドの中にあってもジャイナ教徒は信用できて安心だよ」、「ジャイナ教徒は嘘つかない」と「インド人嘘つかない」みたいなことを言っていました。

仏教徒〈インド人口の約0.7%〉

悟り ブッダ

インドはお釈迦様が生まれた国ですから、仏教発祥の地なのですが、かつては栄華を誇った仏教も一度はインドの地から消え去っていました。

20世紀に入ってから息を吹き返したようですが、その背景にはカースト制度が色濃く残るインドでは不可触民(アンタッチャブル)と呼ばれる存在があったからのようです。

不可触民は、文字通り触れるのもはばかられる民、汚れた存在とされる人々です。

カースト階級よりも下、カースト外の汚れ仕事を担ってくれる、本当は一番尊い方々です。

ヒンドゥー教にあってカースト制度がある以上、一生不可触民としての人生を送る以外の道しかありませんので、それを解消するためにカーストのない仏教徒に改宗する動きが起こったのでした。

今なおインドの地でインド国籍を取得し、〈ナグプール〉という場所で、一人の日本人のお坊さんが奮闘されています。

佐々井上人です。

私が旅行中もこの佐々井上人に憧れて、〈ナグプール〉を訪れたという旅行者に出会いましたし、佐々井上人以外にも、インドの地に日本の仏法を帰すという、崇高な目的に魂を燃やされている方々もありました。

現在のインドの仏教事情は、昔インドで生まれた仏教が東方に広がり、それがインドに逆輸入されるような現象が起こっているような感じがします。

キリスト教徒〈インド人口の約2.3%〉

キリスト教徒も、仏教徒と同じく、脱カーストの意味合いが強いと聞きました。

古くはカースト制度は差別的な感覚ではなく、よりよく全体で生きる為の一つの智慧だったそうですが、現代は違った角度からの思想も入ってきたことで、新しい局面を迎えて変化の時にある感じがします。

問題も多いようですが、宗教の坩堝がインドの魅力ですし、宗教の錬金術を期待します。

インドにはゾロアスター教徒(拝火教徒)もいるようですし、カーストという特殊な制度もあり、様々な思想も混然一体となっているところから対立も多くあるようですが、その反面思想の融合が起これば凄い事になるような気がします。

宗教、思想のカオスからのインドマジックらしい錬金術を期待しています。

HanaAkari

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