「走れメロス」 太宰治著 を読んで

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走れメロス 〈太宰治〉作品を読んで
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「メロスは激怒した」から始まり「メロスは赤面した」で締める最後が愉快です。

実直で真っすぐな心を愉快に描いた短い作品でしたが、単刀直入に言いますと面白かったです。

「走れメロス」は私が義務教育を受けていた頃に教科書で読んだ作品なのですが、全体の内容は憶えていませんでしたが、最後の「メロスは赤面した」という一文だけは、はっきりと記憶にありました。

というのも、私は子供の頃酷い赤面症で、学校の授業で発言を促されたりすると、決まって赤面してしまうので、時々それをからかわれたりするのが嫌で嫌で仕方なかったからです。

「走れメロス」を朗読させられた際に、「メロスは赤面した」の所を朗読した私が赤面していたので、周囲の人達には分かりやすい笑いの種となって、からかわれたことを思い出しました。

先生も何もわざわざ私に朗読させなくてもいいものを私を指名して…遊び心があったのでしょうか?今なら何とも思わないことですが、当時は非常に恥ずかしい思いをして、さらに真っ赤に赤面したのでした。

赤面

なのでそこの部分だけが強く記憶に刷り込まれていたのです。

改めて読んでみると、人間には何が大切か?人間とは何か?ということを短い小説の中に表現していたことに気が付き、感動しました。

善の心を貫こうとするメロスと親友のセリヌンティウスの心の葛藤は、生々しいものだと思いました。

善と表裏一体の悪。

紙一重の境界線の葛藤がありました。

悪政を敷く王に対して、激怒したメロスが愚直に王に挑みます。

死刑を宣告されますが、妹の結婚式を挙げるために、親友セリヌンティウスを人質にして3日間の猶予を乞うのです。

王は戻ってくるわけがないと鼻で笑い、メロスの提案を許します。

それは人間はそれほどに信用できない、3日後にはメロスは友人を身代わりにして自分は逃げたことが証明され、セリヌンティウスを見せしめに処刑し、嘲笑う為でした。

メロスは妹の結婚式を済ませ、自分は死刑になる為に、身代わりになってくれている親友の為に走ります。

道中に様々な困難がメロスの足を邪魔して、メロスは一時、これ以上走ることはできないと諦めてしまうのですが、僅かなきっかけで何とか持ち直し、約束の時間までに親友の元に戻ってくることができました。

メロスは一時、友人を裏切るような気持ちになったことを詫び、セリヌンティウスも一時、メロスは戻ってこないと疑ったことを詫びるのですが、その二人の心の葛藤は決して他人事のようには思えませんでした。

古代ギリシャ

生きていると大きな選択を迫られる時があるものですが、自分は本当に大切なことを意識して行動できたのかな?これから先は出来るのかな?考えさせられます。

王はそのような二人を見て心を改め、一人の少女はほとんど全裸のメロスにそっとマントを掛けるのですが、そこでメロスは恥ずかしさから赤面してしまいます。

めでたしめでたしの中にあるユーモアが微笑ましかったです。

また、激怒から始まり赤面で終わる辺りは、共に顔を赤らめる行為を意識して書いたのかな?と感じました。

もしかしたらメロスは激怒した自分自身に赤面したのかもしれません。

剥き出しの怒りと全裸のメロス。

物語はメロスの雄姿でめでたしめでたしの最後になるのですが、あの3日間の濃密な経験がメロスに良い意味での大きな変化を起こしたのかな?そんな風にも思いました。

ラン

以前に読んだことのある作品を、改めて楽しむという遊びを見つけました。

昔に読んだことのある作品を、時間が経過して価値観や人生観にも以前とは違いがある今、再度読み直してみることが私の一つの楽しみです。

大半のものは内容は忘れてしまっていて、タイトル名と作者だけが記憶に残っている場合がほとんどですので、以前とは違う自分が新しい作品を読むような感じになることが楽しくて、私の遊び心に火を灯してくれました。

久しぶりに読み直してみると、忘れていたはずの内容が思い出されたり、その作品を読むに至った経緯なども思い出され懐かしさも堪能できます。

まさに一石二鳥のささやかな趣味を見つけた気持ちです。

また今では、著作権が消滅した作品が「青空文庫」という電子図書で無料で読むことが出来るので、大変ありがたいことです。

太宰治
太宰治

「青空文庫」とは

インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。

「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。

著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。

日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。

様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。

実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。

〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。

良い発見をしました。

HanaAkari

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