「魔女のパン」 オー・ヘンリー著 を読んで

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読書感想文 魔女のパン 〈オー・ヘンリー〉作品を読んで
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お節介、ありがた迷惑がテーマ⁉物語は面白いですが「魔女のパン」が悪意ある表現だとしたら、私はそこには同意致しません。

お節介、ありがた迷惑で済ませてしまえばそれまでですが、それでは息苦しくなって生きづらくなってしまうように感じた物語でした。

独り身の中年女性マーサの思い込みから行ったありがた迷惑が、とんでもない事件に発展してしまいます。

パン屋を営むマーサのことを魔女と表現しているようなのですが、一体どのような意図があってオー・ヘンリー氏は彼女のことを魔女扱いしたのでしょうか?

恐らく災いの元凶であるようなイメージでマーサの作るパンのことを、魔女のパンとしたのだろうと思うのですが、もしそうだとしたらマーサが救われないような気がしますし、私が物語から感じたこととは違ったものになりそうです。

人の良いマーサは定期的にやってくる中年男性の客が、いつも古くなったおつとめ品のお買い得のパンしか買っていかないのが気になっていました。

そして男性の指先に色の付いた汚れを見つけた時に、この男性は貧しい夢を追いかける絵描きなのだと勝手に思い込んで、老婆心から彼を応援したくなったのです。

それは淡い恋心でもあり、マーサは身なりにも気を使い始めます。

化粧やお洒落にも気を割くようになったのは、マーサの可愛らしいところでもあります。

恋心と母性本能が独り歩きし始めていたマーサは、この貧しい絵描きを私がサポートしてあげなくてはいけないと妄想が膨れるばかりでした。

パン屋

ある日、パンの中に気の利いたサービスのつもりで黙ってバターを挟んで、男性に持たせました。

ありきたりの物語なら、なんて気の利いたありがたいサービスなんだろうという展開になり、マーサと男性は恋仲となり、マーサに春が訪れる展開が待っていそうですが…ここに大きな落とし穴があったのです。

バターを塗り込んだことが原因で、男性は仕事を台無しにしてしまい、激怒してマーサのところに殴り込みに来ます。

事情を知ったマーサは穴があったら入りたかったのでしょう、お洒落をしていたブラウスは脱ぎ捨て、おめかしの化粧品も捨ててしまいました。

私は率直に「マーサ、頑張れ、めげるんじゃない」と言ってあげたい。

大きなお世話で大迷惑を被った男性が激怒する気持ちは分かりますが、マーサは悪気があってパンにバターを塗ったのではなく、善意の気持ちでそうやったというところで、温情ある見方も必要なのではないかと思いました。

もちろん相手のことを真に考えて、お節介やありがた迷惑が無いに越したことは無いですが、私は人がそれを完璧に出来るとは到底思えません。

もし、オー・ヘンリー氏がマーサのありがた迷惑な行いを魔女のパンだとして戒めているのでしたら、私はその考えには賛同はしません。

マーサはこの経験で学習して、次には早とちりせずもっと相手のことを理解してから行動すればいいだけですので。

魔女狩り

私はマーサがこの失敗で思い悩んでしまい、二度とそんな真似はしまいと心を閉ざしてしまって、せっかくの思いやりの心を封印してしまわないで欲しいと願うばかりです。

お節介、ありがた迷惑をされたら困ることもありますが、そういったことが一切ないというのも心に潤いが無さすぎて寂しいことのように思います。

良かれと思ってやった行為が裏目に出たことに焦点を当てずに、良かれと思った気持ちの方にもっと光を当ててあげる方が、もっともっと良くなるように思います。

何もマーサの住む世界に限ったことではなく、私が生活するこの町、国、世界で完璧でない人間同士がそういった気持ちでお互いを尊重し合い、人間らしい愛嬌も忘れずに心豊かに暮らしていけると嬉しいのですが。

失敗したら思いっきり叩き、結果のみを重視するばかりでは息苦しくて辛くなります。

だからマーサには失敗したことを悔やまずに失敗を恐れずに、心あるマーサをこれからも生きて欲しいと思いました。

以前に読んだことのある作品を、改めて楽しむという遊びを見つけました。

昔に読んだことのある作品を、時間が経過して価値観や人生観にも以前とは違いがある今、再度読み直してみることが私の一つの楽しみです。

大半のものは内容は忘れてしまっていて、タイトル名と作者だけが記憶に残っている場合がほとんどですので、以前とは違う自分が新しい作品を読むような感じになることが楽しくて、私の遊び心に火を灯してくれました。

久しぶりに読み直してみると、忘れていたはずの内容が思い出されたり、その作品を読むに至った経緯なども思い出され懐かしさも堪能できます。

まさに一石二鳥のささやかな趣味を見つけた気持ちです。

また今では、著作権が消滅した作品が「青空文庫」という電子図書で無料で読むことが出来るので、大変ありがたいことです。

魔女と黒猫と箒

「青空文庫」とは

インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。

「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。

著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。

日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。

様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。

実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。

〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。

良い発見をしました。

HanaAkari

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