旅の玉手箱【ガート|ghats】〈インド雑学編-11〉

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このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。

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【ガート】沐浴場の人間曼陀羅|旅の玉手箱 インド雑学編-11

【ガート

「ガート」とはヒンディー語で「沐浴場」を指す言葉です。

川に向かって階段状になっていて、その時の水量で水辺に接する段が変わる仕組みになっていました。

ガンジス川中流域にある〈バラナシ〉は、ヒンドゥー教の聖地として、日々多くのインド人が「ガート」に訪れ、ガンジス川に浸かり「沐浴」をし、身を清め、祈りを捧げていました。

ガンジス川は「ガンガー」と呼ばれ、「女神ガンガー」そのものであるとされています。

ガンジス川で「沐浴」をすれば、これまでの人生の罪穢れが一切全て洗い流されるということで、〈バラナシ〉には、人生の最後に「死に場所」としてやってくる人もいると聞きました。

ガート

当時は「そんな都合のいい話はおかしいだろう」と思っていましたが、日本の神道でも「禊」という行為がありますし、意識して心身を清めるという行為だと考えると、忘れがちな心の整理には大事な意味もあるように思います。

また「そんな都合のいい話はない」というよりは、自らを省みた人が再出発をしていく為に、苦しんだ分、「母なるガンガー」の胸に抱かれて救われればいいのにと「そんな都合のいい話があって欲しいものだ」という気持ちもあります。

そんなおおらかな空気が〈バラナシ〉の「ガート」にはありました。

ガート
バラナシ

〈バラナシ〉の「ガート」には「サドゥー」と呼ばれる、ヒンドゥー教の出家修行者が多くいました。

〈バラナシ〉の「ガート」を歩いていると、様々な人、動物、光景を目にしましたが、中でも「サドゥー」の異様は一際目立ちました。

「サドゥー」はヒンドゥー教の出家修行者のことですが、ヒンドゥー教徒には人生の後半には、これまでの人生の集大成として「悟り」を目指し、人として生まれてきた目標を達成させるというような考え方があるようです。

その典型的なスタイルが「サドゥー」として、出家して修行を積むということですが、聖地〈バラナシ〉には多くの「サドゥー」がいました。

見た目が異様なので、とにかく目立ちます。

サドゥー
サドゥー

世界各地の原住民の部族の人々がするような、全身化粧姿の「サドゥー」や、レゲーの神さまボブ・マーリーのようなドレッドヘアーに、ガンジャ、ハシシといったマリファナ系のラブ&ピースの「サドゥー」、日常のしがらみから脱却して生きる「サドゥー」が、一般の人々と同じ場所で生活をしているのです。

私がインドの凄いと感じることの一つに、浮世離れした「サドゥー」のような人々が、その他大勢の一般の人と同居しているようなところがありました。

インドには何でもありの中に秩序があるようで、日本のように同調圧力といった空気は存在しないのではないかと思います。

サドゥー

客観的に見た〈バラナシ〉の「ガート」について

私もせっかくなので〈バラナシ〉の「ガート」で沐浴をしてみましたが、肩まで浸かったのが限界で頭をガンジス川に浸ける勇気はありませんでした。

どう見ても水は汚い泥水でしたし、口に入ればどんな病気になるか分からないのが容易に想像できましたので。

ガートを水面まで下り、恐る恐る足を水の中に入れると、底には泥が堆積していて、ぬるっとした感触が気持ち悪かったので一気に心が折れそうになりましたが、これまでの罪穢れを洗い流してもらわなければならないので、我慢して肩まで入りました。

バラナシ

だいたい、透明度ゼロの水の中には、何がいるのか分からないのも嫌でした。

「ガート」の上の方からガンジス川の沖を見ていると、ぬうっとカワイルカが背中を見せるのを見たりしましたので、なおさら不気味でした。

インド人の中にはガンジス川で歯磨きをしている人もいましたしたが、信じられない光景なのでした。

当時でもガンジス川の汚染状況は酷いものだという情報もありましたし、少し川上では普通に川で洗濯をしていますし、火葬場も近くにあり、遺灰はガンジス川に流されるのですから。

ガート
バラナシ

沖合いを布に包まれた死体が流れているし、下水処理場もすぐそこにあったし、しかも浄水場の取水口もその隣にあるというし、嘘か真か?とんでもない腰を抜かすような状況なのでした。

この世の酸いも甘いも一切合切があそこにはあるような、悪魔も尻尾を巻いて逃げ出すようなカオス状態、聖地〈バラナシ〉の「ガート」模様は強烈過ぎでした。

何か人々の強い想念が渦を巻きに巻いて、しまいには上昇気流となって天まで届いてしまうかのようなエネルギーがあるようでした。

「醜くさ極まって美しさになる」ような底知れぬ魅力がありました。

HanaAkari

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