旅の玉手箱【バクシーシ】〈インド雑学編-9〉

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このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。

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【バクシーシ】物乞いの文化に葛藤|旅の玉手箱 インド雑学編-9

【バクシーシ

インドでは物乞いの人々が多くいました。

インドの物乞いの人々は、日本のホームレスのような厭世的で人を避けたような感じではなく、積極的に向こうから近寄ってきて、おねだりをしてきました。

大袈裟かもしれませんが生きる為の仕事のような印象も受けました。

稀に外国人観光客を明らかに狙って近寄ってくるバクシーシもいましたが、大半は生きるために必要だから行っているようでした。

輪廻転生を信じる大半のインド人には、お金のある人は貧しい人にお金を恵んで、来世のために徳を積み、より良い来世を送りたいとする考え方があるようでした。

またそういった文化ですので、お恵みをしてもらう側も普通の行為として自然なことのようでした。

ただ日本からお邪魔した私がどのように対応したらいいのかは考えさせられました。

出会う物乞いに一人一人対応するのはキリがないですし、そこまでの器もありませんから少々悩みました。

バクシーシ

これについては日本人旅行者の間でも意見は様々で、「一度外国人が価値基準からずれた高額な金額を恵んでしまうと、どんどん味を占めて良くない」という意見もあり、それも一理ありましたが、すでにそうなってしまっているようでしたし、「なんだろなぁ~」という違和感もありました。

かといって徹底的に「バクシーシ」と近寄ってくる人を無下にして、頑なに拒絶するのも気持ちよいものでもありませんでした。

最終的にはあれこれ考えずに「自分がお恵みしたい」と感じればお恵みし、そう感じなければしない、そうすることにしました。

何が正解かは分かりませんので、自分の心の声に正直にしようと開き直りました。

「バクシーシ(物乞い)」の方にチャイを御馳走になりました。

袖触れ合うだけのすれ違うバクシーシの人が大半の中で、一人のバクシーシの家族とはこちらも嬉しくなるような出来事にまで発展したことがありました。

その出来事はチベット仏教文化圏のラダックの〈レー〉に二度目に行った時から始まり、その年の夏に三度目に行った時にありました。

高度3500メートルある〈レー〉の町には冬場は道路は封鎖され飛行機でしか行けませんでしたが、どうしても行きたくて行ってみたのです。

日があるうちは太陽の日差しで外出も平気でしたが、日が沈むと無茶苦茶寒かったのを覚えています。

夏の時期は外国人旅行者も多く、活気のある〈レー〉でしたが、冬場は外国人旅行者もほとんどおらず、ほぼラダックの人だけの静かな所でした。

初めて行った時には気が付かなかったのですが、この時にはラダック人以外にごく少数のインド人が〈レー〉の町にいました。

他の場所から食い扶持を求めて流れてきたのだと思います。

レー

バクシーシの女性が小さな赤ん坊を抱いて、私の所に来ました。

「バクシーシ」と言って私に向けて手を差し出してきたので、その時は自然とお恵みをしました。

インド人女性は身なりは粗末でしたが、顔立ちは美しく、玉のような赤ちゃんはとても愛らしかったので、写真を何枚か撮らせてもらったのが初めての出会いでした。

旦那さんは通りで靴磨きをしていました。

この時にラダックの方との有難い縁があったことで、三度目のラダック行きになったのですが、その時には冬の時に撮った写真を現像して持参しました。

その中にはバクシーシの女性と赤ちゃんの写真もありました。

そして三度目に夏の〈レー〉でバクシーシの家族に再会したので、現像した写真をプレゼントする機会に恵まれたのです。

私が写真をプレゼントするとびっくりするくらい喜んでくれて、そしてたかだか写真などは自分の生活では当たり前になっていて、写真をもらって喜ぶなんてことは想像できなくなっていた自分の浅ましさに気が付いたのでした。

もちろん喜んでくれたらいいなという気持ちがあったのですが、まさかの喜びようにはこちらが感動させてもらうことになりました。

次に〈レー〉の町で顔を合わせた時には、家に呼んでもらいチャイを振舞って下さいました。

天井の低い狭い一部屋だけの住まいでした。

住まいにお邪魔させてもらうと、写真立てに入れられて飾られていた、私がプレゼントした写真を嬉しそうに見せてくれました。

写真立て

わざわざ写真立てを買ったんだろうな…

こんなにも写真をプレゼントした甲斐があるなんて…

粗末な道具でチャイを作ってくれました。

本当に美味しいチャイでした。

HanaAkari

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