思わず唸らされるズルいトリックでした。
流石、日本のレジェンド推理小説作家の作品だと思いました。
松本清張氏の文章は簡潔で潔さがあるように思います。
ですからとても読みやすくて、自然と小説の世界に没入してしまいます。
人間の心理描写がとても赤裸々で綺麗に取り繕っていないのも、ドロドロとしたサスペンスではその陰湿さは長所ともいえるのだと思いました。
そこが架空の物語にリアリティーを感じてしまう所かもしれません。
推理小説を読むと必ず、自分が犯人だと疑っている人物は白で、最後には想像だにしなかった人物が黒だったという結末になります。
そうでないと推理小説としては期待外れなものになってしまいますし、作者もそれが狙いなのでしょうから当然かもしれませんが、読み手の私もそれを期待しているのは確かです。
しかも、推理小説はそのように読者を導いていくので、犯人を当たることはまず無理なのではないでしょうか?
ズルいと思います。
「ガラスの城」は、その手法が見事で、いい意味でズルいという気持ちが大きかった作品でした。
「う~ん…」
唸らされました。
〈松本清張〉1992年8月4日82歳にて没
本名は〈マツモト キヨハル=松本清張〉。
〈マツモト セイチョウ=松本清張〉はペンネーム。
日本を代表する推理小説家として有名ですが、それ以外にも作品の幅は広い。
レジェンド作家。
HanaAkari
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