トランスジェンダー要素もあり、お茶目なキャラクターが愛らしいですが、意味深な感じがする物語でした。
天使のいたずらによって、女の子の心と男の子の心を持って生まれた〈サファイア〉は女性でありながら、お国事情から男の子として育てられます。
中世ヨーロッパをモチーフにした架空の世界で、一国のお姫様が王子として育てられることで、〈サファイア〉は様々な困難に見舞われてしまいます。
小さい頃に見たテレビアニメの印象では、女の子でありながら男の子の素質も兼ね備えている〈サファイア〉は、腕の立つとても強い騎士だった印象がありました。
しかし、原作漫画をすべて通して読んでみると、可憐な少女が男勝りに悪と戦うというよりも、困難にめげないで幸運を味方にしながらくじけずに前を向いていく様、そんな健気な姿を応援したくなる内容だったのが意外でした。
今ではよく取り沙汰されているトランスジェンダー的な要素を含ませているのも、手塚治虫氏の先見の明を感じました。
架空の漫画の世界に人間が抱える問題を織り込んでいたのが見えてくると、子供の目では気が付かなかったものが見えてきて面白かったです。
登場する人間も天使も魔女も神も悪魔もみんな、完璧でなくお茶目なので心から憎むことが出来ない愛嬌があり、あくどい行いに〈サファイア〉がどれだけ苦しめられても、嫌な気持ちにならずに読めるのだろうと思います。
また、昔の漫画は絵を全て手描きしているから、絵から受ける印象が最近の漫画とはかなり違い新鮮でした。
もの凄い根気の作業の賜物なのでしょう。
「リボンの騎士」は、漫画の神様〈手塚治虫〉氏、初期の頃のヒット作品です。
「リボンの騎士」は同じように昭和の子供の心を鷲づかみにした、「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」の次に発表された初期の頃のヒット作品です。
この三つの作品はどれもテレビアニメ化され、何度も再放送されていた作品でしたので、昭和世代で名前を知らない人の方が少ないでしょう。
まさにレジェンドです。
HanaAkari