山と共に生きる人々、山に魅せられた人々の命懸けの浪漫の物語。
山登りに命を懸ける人々の魂の物語でした。
「あなたはなぜ山に登るのですか?」と尋ねられた登山家が、「そこに山があるから」と答えたという話は有名です。
命の危険を冒してまで頂上を目指す感覚は、登山に興味が無い人には理解し難いものですが、目標となるものに対し全力で挑む姿には感動します。
きっとそれは貪欲なまでに自分を生きることに真剣だからだと思います。
別に山に限ったことじゃなくても、人がそれぞれ何かに真剣に取り組む姿は美しいものだと思います。
この物語を読んでいたらそのように熱中できるものがあり、目を輝かせて挑める人々は幸いなように思いました。
登場する人物たちが不屈の精神で山に挑む姿に心打たれつつ、山と共に屈強に成長していった過程も見れて、山登りを通して浮かび上がる心の葛藤と対峙しながら諦めない、人の可能性を感じさせられました。
無謀なことは重々承知でも、やらなければならない、やりたい、行きたい、そんな情熱という呪いと真剣に向き合った人々がありました。
時に家族を置き去りにして、周囲の人々の思いを断ち切ってまでも挑戦するという、残酷さと背中合わせなことにも考えさせられ、残酷さの中に美しさを見るようでした。
人が死ぬ前に最も後悔するすることは「挑戦しなかったこと」という学説を思い起こしました。
ある研究結果では、人は死ぬ前に最も後悔するのは「もっと挑戦しておけばよかった」という気持ちだといわれます。
義務や責任に対してではなく、やりたかったことに挑戦しなかったことが一番大きな後悔になる。
失敗はやり直せるが、やらなかったことは軌道修正すらできないので、ずっと心に残り続けることになるからだそうです。
ネパールの山岳民族「シェルパ」が登場しました。
「岳人列伝」には、ネパールの山岳民族「シェルパ」が登場しますが、私がネパールに行った際にも出会いました。
もの凄い量と重量の荷物を担いで、険しい山道を行く姿には驚いたものです。
私では担ぎ上げることすら出来ない重量の物資を担いで、足場の悪い山道を黙々と進んでいくのです。
また標高の高い山岳地帯で過酷な環境を生きる人々ですから、女性も逞しかった。
民俗衣装を身に纏い、タバコをプカーっと吐き出す姿には痺れました。
HanaAkari