風刺炸裂のちょっと過激な内容が楽しかったです。
独特の世界観が楽しいうえに、山椒のような爽やかな風刺が効いた物語が可笑しかったです。
10本の短編漫画はそれぞれ色合いが違い楽しませてくれるのですが、馬鹿らしく見せ掛けながらそれぞれにメッセージ性があるのが共通しているようでした。
分かりやすいように極端な世界で表現しているので、そこでまず吹き出してしまいました。
そして笑かすだけが目的でないようなので、うかうかしているうちに自分の中にある、同じような心理をえぐられているのです。
ある意味ではお茶らけているようで、とんでもなくえげつない愛をぶち込んでくるので、普通の可笑しさと、引き攣った笑いを同時に味わされているような感じでした。
私のような素直でない現代人には、うってつけの面白さでした。
人として大切にしないといけない何かを、冗談交じりに真面目に訴えられているような感じがして、嬉しかったです。

個人的には、「チューブ」という作品が特に好きでした。
どの作品もそれぞれ面白かったですが、私のお気に入りは「チューブ」という作品でした。
この作品での「チューブ」は医療における、点滴のイメージです。
こんなセリフがありました。
安全と健康ためだけに生きるのなら、チューブに繋がれているのと同じだ。
俺はチューブを外した。
お前は?

過剰な規制に対する反抗の先は、一体どんな景色を見せてくれるのでしょうか?そんな内容がグッときました。
HanaAkari
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