よくある恋愛事件?嘘でしょ…冷汗が流れる恐怖がありました。
サスペンス小説ではよくある恋愛事件?まさかまさか…冷汗が出ました。
作中でも登場人物自身が「よくある恋愛事件」だと発言するシーンがありました。
しかし、現実にはなかなか推理小説のように「よくある…」なんてものは少ないように思います。
小説の世界では、煮えたぎる感情を抱えながら計画的に殺人を決行する犯人がいて、その犯罪を鋭い勘を頼りに紐解いていく過程が面白いのですが…フィクションだから楽しいのでしょう。
実際の話になると血生臭すぎて堪ったものではありません。
煮えたぎる感情はあっても、抑止する何かの方が大きく働くことでしょう。
ですが、松本清張氏の怖いところは、当然そのような読み手の心理を見越しているようなところにあると思いました。
登場人物の心理描写を通して、こちらを脅迫でもしているかのようでした。
今まで彼女が本で読んだり、聞いたりして、その瞬間に忘れ流してしまった同じ出来事でだった。
しかし、現実に自分の身にふりかかってくると…
今まで平気で見過ごしてきた他人の不幸が、一どきに襲い掛かって仕返しにきたように思えた。
先回りされて待ち伏せされていたようで、震えあがりました。
人間の心理の急所を、暗殺者がいとも簡単に一撃で仕留めるかのごとく、逃れようのないものを感じます。
くわばらくわばらです…
〈松本清張〉1992年8月4日82歳にて没
本名は〈マツモト キヨハル=松本清張〉。
〈マツモト セイチョウ=松本清張〉はペンネーム。
日本を代表する推理小説家として有名ですが、それ以外にも作品の幅は広い。
レジェンド作家。
HanaAkari
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