このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。
【カーリー】戦慄の女ブッチャー|旅の玉手箱 インドの神様編-22
【カーリー】
ヒンドゥー教の神々は、個性的な容姿と性格で楽しませてくれますが、その中でも強烈に異彩を放っているのが女神〈カーリー〉です。
破壊神〈シヴァ〉の妻〈パールヴァティー〉は、多くの女神神話を取り込んだ結果、多重人格な女神になりました。
〈カーリー〉はその一つです。
正確には〈パールヴァティー〉と同一視される、女神〈ドゥルガー〉から〈カーリー〉は出現しました。

特筆すべきは〈パールヴァティー〉は、美や友愛を象徴する美しい女神であるのに対し、〈ドゥルガー〉は神々の怒りの炎から誕生した、究極の怖い女戦士であり、敵である魔人(アスラ)軍を次々に切り捨ててしまいます。
その〈ドゥルガー〉が〈アスラ〉と出会った時に、怒りが沸点を超え全身真っ黒になり、分身体〈カーリー〉が眉間から出現しました。
理性のカケラもない血に飢えた殺戮の黒い女神〈カーリー〉の誕生です。
容姿も尋常ではなく、4本(10本ともいわれる)の腕に、武器と肉切り包丁と血の滴る生首を持ち、猟奇的に長い舌を垂らしながら、3つの目を血走らせているのである。
首には長い髑髏の首飾り(生首ともいわれる)をぶらさげ、腰には敵から切り取った手足を巻いている。
そんな血まみれの〈カーリー〉が髪を振り乱し、血を求めて敵に襲い掛かるのです。
女神どころか悪魔以上に悪魔のようです。
一塊の情けも無い、まさに修羅の女王のような信じられない女神です。
肉切り包丁を振り回している姿には、それこそ〈女ブッチャー〉とあだ名したくなります。

一滴の血も残さない、〈カーリー〉戦慄の武勇伝。
ある戦いで〈カーリー〉はアスラ軍の魔人〈ラクタビージャ〉と闘ったのですが、〈ラクタビージャ〉の特殊能力によって苦戦させられます。
〈ラクタビージャ〉を斬ると、大地に落ちた血から新たな〈ラクタビージャ〉が生まれ、切れば斬るほど、〈ラクタビージャ〉は増殖してしまい形勢は悪くなるばかりでした。
そこで〈カーリー〉は斬りつけるのを止め、分裂した〈ラクタビージャ〉を丸呑みにして食べてしまいます。
最後には〈ラクタビージャ〉本体に噛みつき、〈ラクタビージャ〉の血を一滴残さず飲み干してしまいます。
そうしてすべての血を飲み干された〈ラクタビージャ〉は息絶えたのです。
血まみれの女神らしい強烈なエピソードです。

HanaAkari