このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。
【Dil se・・|ディルセ(心から)】|旅の玉手箱 インド映画編-1
【Dil se・・|ディルセ(心から)】
私が人生で初めて見たインド映画が「Dil se・・」でした。
初めてデリーに行った時にコーンノートプレイスにある映画館で上映されていたのが縁です。
人から聞いていた話ではインド映画は単純明快なストーリーで、突然ダンスシーンが始まる楽しい映画ということでしたが、この映画はシリアスなストーリーで悲しい物語だったのが、とても印象に残っています。
もちろんダンスシーンが唐突に始まるスタイルは健在でしたが、凄くアーティスティックでした。
私はこの映画の映像と音楽のお洒落な感じと、影のある感じがとても好きです。
デリーを舞台にしているので、オールドデリーにあるレッドフォートとか、見覚えのある風景が映し出されるのですが、この映画を見た後に訪れたラダック地方や、南インドのケララ州のヤシ畑の間に張り巡らされた運河などもロケ地に使われていたので、そこに訪れた時には「あっ、〈Dil se〉で見た場所だ」と映画のシーンと本物の場所が一致して、ささやかな喜びがありました。
たまたま初めて見たインド映画でしたが、インド映画らしからぬ情緒のあるものに出会えたことは幸運なことだったのかもしれません。
言葉の意味は分かりませんが、テロをテーマにした重い悲しいストーリーでした。
テロリストの女性と恋に落ちる男の物語でした。
最後に胸が痛くなる展開が、鑑賞後もしばらく余韻となって続きました。
【Dil se・・|ディルセ(心から)】出演者について
インドの俳優事情は人気の男性俳優の活躍する期間は長く、女優は短い時期に華々しく咲き、次から次に新しい人が出てくるという印象がありました。
女優の入れ替わりは多いようですが、出演している時期には連続して出演しているようで、一定期間は同じ女優の出演する映画を次から次に見かけました。
世界一の映画製作数を誇るインドらしい一面だと思います。
ボリウッド映画の構成はヒーローとヒロインが必ずいて、準主役がその脇を固めるスタイルが王道のようでした。
〈シャー・ルク・カーン〉
主役ヒーロー役は、〈シャー・ルク・カーン〉です。
大スターも大スターでした。
私がインドに行った頃は、どこに行っても〈シャー・ルク・カーン〉のポスターや看板は見かける大人気の俳優で、スーパースターでした。
当時はインドの俳優は筋トレばかりして、見た目重視の傾向にあると言われていましたが(外野からの大きなお世話な意見ですが…)、〈シャー・ルク・カーン〉は演技の勉強をしたりして、少しインドでは異色だったようです。
二枚目も三枚目を演じることが出来る役者だと思いますし、大人気なのも納得です。
〈マニーシャ・コイララ〉
役柄だったかもしれませんが、影のある感じがして哀愁のある感じが魅力的でした。
〈マニーシャ・コイララ〉はネパール出身ということで、知り合いのインド在住のネパール人が「彼女はネパール出身なんだ」と嬉しそうに話してくれた時の顔を思い出します。
インド映画に出演している同郷のネパール人が、誇らしかったんでしょう、微笑ましいです。
〈プリティー・ジンタ〉
この映画がデビュー作品だったようです。
私は〈プリティー・ジンタ〉がヒロインの〈SOLDIER❘ソルジャー〉という映画で、彼女の魅力を存分に知りました。
あの頃のインドの映画館について
インドの映画館はとにかく楽しい映画鑑賞ができました。
今のインドの映画館事情は分かりませんが、当時は日本の映画鑑賞マナーとは正反対の私からすれば型破りな映画鑑賞が、とても楽しかったです。
ちょっとしたラブシーンでは口笛を鳴らして喜ぶ人や、歓声をあげる人、手を叩いて感情を露わにする人、静寂とは無縁の映画鑑賞でした。
インド人の映画鑑賞は、とにかく思いを口に出したり、騒いだり、観客一体となって盛り上がっていました。
喫煙する人もいるし、まあ、日本だと摘まみ出される要素満載の楽しみ方がインド流で、無茶苦茶面白かったです。
映画の上映時間が3時間ほどありましたので、途中で休憩時間が10分ほどあったのも助かりました。
インターバルという画面が出て一旦休憩になるのですが、インターバルの前は必ず盛り上がるようなシーンになり、その余韻を持ちながらみんなトイレに行っては、口々に感想を述べあったりしているようでした。
私はあのインドの映画館が大好きでした。
勝手ながらいつまでもあのようなインドらしい風景は残って欲しいと思います。
HanaAkari