このブログは私が想像で世界旅行に行ってみる、空想旅行記です。行ってみたい国や場所は尽きませんが、実際に全ての場所に行くことは現実的でなく、様々な事情で行けない場所もあります。そんな一切の事情を無視して、空想で世界各地に飛び出してみたくなりました。
【黄金郷】金色の心、エルドラドの人々の価値観|空想@世界一人旅
そこには黄金が溢れている。
黄金に光り輝く秘境〈黄金郷〉に行ってみました。
〈エル・ドラ―ド〉とも呼ばれたりしますが、人はなぜ黄金色(こがねいろ)に目の色が変わり、魅了されてしまうのでしょうか?
そんな当たり前の人間の生態のメカニズムに触れることが出来れば面白いと思ったのです。
建造物はすべてゴールド製、見渡す限りの金色の世界がありました。
驚いたことは黄金郷の人の身には一切、黄金が身に付けられていなかったことです。
それがかえって黄金の世界では目立ってしまいます。
人々はありふれた黄金には全く価値を感じることがないようで、ただ資材として豊富にあるから、何にでも金を使用しているのだそうです。
身に付けない理由は、どこもかしこも金の世界で生活していると、身に着けるなんてことは絶対に敬遠したくなるということでした。
なんでも金の雨が降り、金が湧き出る泉は数知れず、どこもかしこもゴールドなので、金を巡って争うなどということなどは発想すら起こらないのでした。
黄金郷の人々にとっての黄金とは、ここでは数少ない自然の緑や子供たちの未来のことです。
ほとんどが金に覆い尽くされている大地で、猫の額のような土地をみんなで協力し合って耕し、自然の恵みを享受すること以上に素晴らしいものはないとのことでした。
外の世界から迷い込んできた私のような者が、黄金に目を奪われて涎を垂らしている姿を見ると不思議に思うと言っていました。
黄金郷に伝わる伝説では、他所の世界からきた者が金の価値をここの人々に熱く説明をしたことがあり、ものは試しと一人の若者が、大量のゴールドを携えて外の世界に行ったことがあったという話があります。
廃人になって帰ってきた黄金郷の若者
黄金を持って外の世界に旅立った若者は、数年後に命からがら戻ってきたそうです。
なんとか戻ってくることは叶いましたが、衰弱しきった若者は間もなく命を落とします。
大量のゴールドを持っていることで、人からは騙され、酷い時には力づくで奪われたり、身の危険ばかりを気にして生活をする毎日は、その若者をどんどん追い込んでいったようでした。
元々、黄金郷の人々に金銭感覚などなく、それに力関係が発生したり、嫉妬されたり、狙われたりすることなどは皆無だったのですから、外の世界の人間には当然だと思える成り行きに、若者が一気に老け込んだのも分かるような気がします。
彼は「二度と行きたくない」という言葉を残し、大地に還りました。
そこには若者が外の世界から持ち帰った、美しい花の種が芽吹いたということです。
HanaAkari