旅の玉手箱【ブラフマー】〈インドの神様編-24〉

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旅の玉手箱 〈ブラフマー〉 旅の玉手箱〈インドの神様編〉
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このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。

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【ブラフマー】地に落ちた創造神|旅の玉手箱 インドの神様編-24

【ブラフマー

ヒンドゥー教の創造神〈ブラフマー〉は、あらゆる全てを創造した根源の神です。

創造神〈ブラフマー〉は、維持神〈ヴィシュヌ〉、破壊神〈シヴァ〉と肩を並べ、ヒンドゥー教の三大神として讃えられる存在です。

観念的にはその中でも筆頭と言えるでしょう。

しかし、現代のインドでは、〈ブラフマー〉はとても影の薄い存在でした。

民衆心理では〈ブラフマー〉が全ての源であると言われても、スケールが大きすぎてイメージしにくいのでしょう、英雄譚が多い、〈ヴィシュヌ〉と〈シヴァ〉の陰に完全に隠れてしまっていました。

ブラフマー

創造神ならではの逸話では、〈ブラフマー〉は自分の伴侶である美しい女神〈サラスヴァティー〉を、自ら創造し、熱視線を送り続け〈サラスヴァティー〉の心を射止めたというものがあります。

熱い視線で見つめられて、恥らい逃げ惑う〈サラスヴァティー〉を視界から逃さないように〈ブラフマー〉は、全方向を見れるように新しい顔を創造し、最終的には5つの頭を持つようになったのです。

それにより四方と頭上を完全に視覚に収め、逃げ惑う〈サラスヴァティー〉に死角は無くなってしまいました。

〈ブラフマー〉の熱い視線を送り続けるだけのむっつりプロポーズに、彼女は遂に観念し結婚を承諾します。

自ら創った女神の美しさに我を忘れるくらいに惚れ込んでしまう創造神、現代だとストーカーとして訴えられそうなエピソードですが、かなり愛嬌のある話です。

また、〈ブラフマー〉の乗り物は〈ハンサ〉と呼ばれる白いガチョウなのも、この神のコミカルな一面だと思います。

ガチョウ

宇宙の根本原理「ブラフマン」=「梵」の人格神〈ブラフマー〉。

ヒンドゥー教における究極の概念が「ブラフマン」であり、全ての根源、宇宙の根源を意味します。

抽象的ですが胸の奥に問い掛ければなんとなく感じるようなものを、人格化したのが〈ブラフマー〉神ですが、そのようなものを人格化するのは土台無理がある発想でしょうから、コミカルな人物像になってしまったのかと想像します。

また、創造神の捉え方として、創造神〈ブラフマー〉、維持神〈ヴィシュヌ〉、破壊神〈シヴァ〉の三神は、どれもそれぞれにその力を有するという発想があり、三神一体〈トリムルティー〉という考え方もあるようです。

創造

日本では〈ブラフマー〉は〈梵天〉となりました。

仏教では〈ブラフマー〉は仏法の守護神となり、梵天界の主になりました。

仏教観では「天」とは最上位にある世界を表し、梵天界はそのうちの一つです。

古代においてヒンドゥー教の前身、バラモン教が仏教に取り込まれた時代背景から、現代とは違い〈ブラフマー〉の観念にはまだ敬意があったようです。

本当は宇宙の根源なのですから、当然そうあるべきなのでしょう。

本質を感じ取る能力は古代の人々の方が、現代人よりもはるかに優れていたような気がします。

HanaAkari

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