「希望…」とは?「生きる…」とは?アニメ映画版とは違う重みがありました。
アニメ映画「風の谷のナウシカ」に子供ながらに感動した私は、漫画版の「風の谷のナウシカ」も途中まで読んだことがありました。
まだ連載途中だったことで最後まで発売されておらず、肝にあたる最終局面に至る前辺りで中断したまま、数十年の月日が流れてしまいました。
そのことがふとした瞬間に頭によぎり、些細な事でも未練を残すのは嫌なものだと思ったのが、漫画版「風の谷のナウシカ」を完読することへの動機になりました。
そして、以前ではなく今読めて良かったという気持ちになりました。
今でしたら漫画版の方が好きだと言えますが、以前ならそうは思えなかったでしょう。
アニメ映画とは内容が違うところがあることは分かっていましたが、それ以上に昔の私ではうまく解釈できずに戸惑うか、「風の谷のナウシカ」に抱いていた美しい印象を傷つけられて、うぶだった私は残念に思ったかもしれません。
物語はクライマックスに向かえば向かう程、人間とは?いかに生きるのか?といった深みを増していったように感じました。
当然、それに伴い美談や綺麗ごとだけでは片付けられない、その裏側部分が目立つようになってきました。
「死」や「残酷」さ、できることなら目を背けたい描写も多くなり、幻想を打ち砕かれるようでした。
昔アニメ映画を見て感動した私が抱いた「自然を大切にしないといけない」といったテーマは、もしかしたら表向きの顔だったのかもしれません。
その深部には清濁併せ飲みながら決断してゆく人間の苦悩があり、その先があるのか無いのか、良いか悪いかなど誰にも分からない、けれども精一杯生きることが「希望」になる、そんな風を感じました。
出来る事なら幻想を抱いたまま、メーヴェに乗ったナウシカが白い天使として、人々を導いてくれる方が、どれだけ浮かれていられるでしょう。
しかし優しいナウシカが苦悩の中で、強いナウシカへと変化してゆく「漫画・風の谷のナウシカ」のナウシカは非常に魅力的でした。
漫画版「風の谷のナウシカ」でのナウシカの言葉
あなたはとても強い力を持っているやさしい子…でも立派な人になるにはそれだけではだめ…力のおそろしさも学ばなければいけないの。
あなたは私の生命を救ってくれました。でも下僕になって平安を得たいとは思いません。
止めなさいっ、死者のものを盗ってはならない‼ いかなる死者もはずかしめるな‼
…あ…ごめん…怒る資格なんか私にはないのに……この人達は何百年もこうして生きて来たのだ…
私達はなんて沢山の事を学ばなければならないのだろう。
生きることは変わることだ…
ちがう、いのちは闇の中のまたたく光だ‼
HanaAkari