自分を後回しにして相手のことを思う心の形が、賢者からの贈り物になりました。
本当の幸福とは何なのか?は、古今東西ずっと語り合われていることですが、よく比較されるのが、お金と愛を天秤にかけたことではないでしょうか?
「賢者の贈り物」はまさにそのような物語でした。
貧しくてお金のないデラは、愛する夫のジムにクリスマスのプレゼントを買ってあげることが出来ないことを嘆きます。
デラは何とかならないものかと散々悩んだ末に、自分が一番大切にしている綺麗な自慢の髪を売ってお金を作り、ジムへのプレゼントを選ぶのです。
愛する夫への思いが、自分の髪のことは諦めてジムの喜ぶことが何か出来ないかと彼女を勇気のある女性にするのですが、自分が一番大切にしているものだからこそ、決断するには様々な葛藤に苦しんだだろうと思います。
そして彼女はジムが一番大切にしている彼にとっての形見の品である、金の懐中時計に鎖が無かったものだから、彼が一番喜ぶだろうと思って、金の時計に相応しい鎖を買いました。
しかしジムは長い綺麗な髪を切ったデラを見て、ショックを受けてしまいます。
彼は愛するデラの為に彼女が一番喜ぶだろうと思い、彼女の長い髪に相応しい綺麗な櫛をプレゼントに用意していたからです。
その為に、ジムは自分の一番大切な形見の懐中時計を質に入れたのでした。
お互いに相手のことを思って、自分の一番大切にしていたものを手放し、相手の為にプレゼントを用意したのに、そのどちらも無くなってしまっていたのです。
これは間抜けなことでしょうか?
二人が選んだプレゼントこそが、賢者からの最高の贈り物だったとする、オー・ヘンリーに私は賛成です。
自分の一番大切なものを捨てて、相手のことを思って選び抜いたプレゼントを用意した心が、何よりも大きな宝物になったはずです。
お互いに愛しむ気持ちが強くなったことでしょうし、それがデラとジムにとっては賢者からの贈り物だったのかもしれません。
愛とお金のどっちが大切かを比べてみたらどちらも大切なのですが、愛に比重をおいた生き方ができればきっと幸いなことなのだと感じました。
以前に読んだことのある作品を、改めて楽しむという遊びを見つけました。
昔に読んだことのある作品を、時間が経過して価値観や人生観にも以前とは違いがある今、再度読み直してみることが私の一つの楽しみです。
大半のものは内容は忘れてしまっていて、タイトル名と作者だけが記憶に残っている場合がほとんどですので、以前とは違う自分が新しい作品を読むような感じになることが楽しくて、私の遊び心に火を灯してくれました。
久しぶりに読み直してみると、忘れていたはずの内容が思い出されたり、その作品を読むに至った経緯なども思い出され懐かしさも堪能できます。
まさに一石二鳥のささやかな趣味を見つけた気持ちです。
また今では、著作権が消滅した作品が「青空文庫」という電子図書で無料で読むことが出来るので、大変ありがたいことです。
「青空文庫」とは
インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。
「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。
著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。
日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。
様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。
実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。
〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。
良い発見をしました。
HanaAkari