このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。
【ブッダ】ヒンドゥー教では、〈ヴィシュヌ〉神の化身の一つ|旅の玉手箱 インドの神様編-17
【ブッダ】
仏教の祖〈ブッダ〉ですが、面白いことにヒンドゥー教では〈ヴィシュヌ〉神の化身の一つとされています。
伝説によると〈ヴィシュヌ〉神は、10の化身があり、〈ブッダ〉は9番目の化身になるそうです。
ヒンドゥー教には終末思想があり、〈ブッダ〉に生まれ変わった〈ヴィシュヌ〉神の役目は、〈ブッダ〉となって異端の指導者となり、偽の教義を広めることで、バラモン教の教えを人々から失わせることで、末世へと加速させることでした。
そして終末には〈ヴィシュヌ〉神の10番目の化身〈カルキ〉が顕現し悪は一掃され、世界は一新されるのだそうです。
この新世界は、正義と道徳によって人々は争いなく暮らし、病気にもならない素晴らしい時代になるようです。
そして、新たなサイクルでも少しずつ悪が増えてゆき、次の終末に向けて4つの段階を進んでゆきます。
四つのサイクルの発想は、古代ヴェーダの時代からのものですが、〈ブッダ〉が〈ヴィシュヌ〉神の化身という話は、私はヒンドゥー教が仏教を取り込むために、後から創り上げたことだと考えています。
〈ブッダ〉が当時、世間の人々が信じていたバラモン教の教義、「カースト制度」を否定し、バラモン教(ヒンドゥー教)側からは異端者とされたのは歴史的な事実ですから、爆発的に人々の人気を集めていく仏教を上手にヒンドゥー教が取り込むための妙案だったのかと思います。
〈ブッダ〉の行った行為をそのまま流用してしれっと貶め、〈ヴィシュヌ〉神に花を持たせ、それまでのヴェーダ(バラモン教)の教えに上手く組み込んで、敵視していないところは素晴らしいと思います。
現在のインドでは、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立は根深いものがあり、それを考えると〈ブッダ〉=〈仏教〉を〈ヴィシュヌ〉神=〈ヒンドゥー教〉に融合させているのは、かなり柔和な発想だったのではないでしょうか?
その辺りにインドの奥深さを感じます。
一方、〈仏教〉にも〈ヒンドゥー教〉の神様は融合しています。
有名なところでは〈大黒天(だいこくてん)〉がいます。
現代のインド・ヒンドゥー教において、〈ヴィシュヌ〉神とトップの座を競っている〈シヴァ〉神の仏教形が〈大黒天〉です。
その他多くのヒンドゥー教の神様は仏教の守護神として、日本でもご活躍中です。
馴染みは薄いですが〈ヴィシュヌ〉神は〈那羅延天(ならえんてん)〉に、〈ヴィシュヌ〉神の乗り物〈ガルーダ〉は〈迦楼羅(かるら)〉となりました。
ヒンドゥー教と仏教でお互いに上手に利用しあっているのが、面白いと思います。
HanaAkari