このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。
【ヴィシュヌ】10の化身を持つ神|旅の玉手箱 インドの神様編-14
【ヴィシュヌ】
私の印象では〈ヴィシュヌ〉神は、人気ナンバーワンの座を〈シヴァ〉神と競り合っているように感じました。
もちろん神様にどちらの人気が上か下かとランク付けすること自体おこがまいのですが、凄くぶっ飛んだヒンドゥー教の神々ですから、そのような些細なことは気になさらないことでしょう。
〈ヴィシュヌ〉と〈シヴァ〉は、実力、人気のツートップ争い以外に、個性が対称的なのが面白いところです。
一般的に〈ヴィシュヌ〉は世界の維持神とされ〈シヴァ〉は破壊神ですから、趣がまるで違います。
対比する関係で競い合っているのです。
外野から見た感想では、〈ヴィシュヌ〉には正統派、清純派の白いイメージがあり、〈シヴァ〉は個性的、破天荒の黒いイメージでした。
真面目っ子とやんちゃ坊主、スーツとつなぎ、法とアウトロー、そんな風に想像しました。
どちらが良いとか悪いとかではなく、永遠のテーマとも言えそうな両極で、人気を二分しているのがインドらしいと感じます。
〈ヴィシュヌ〉神には世界を救済するための10の化身があります。
〈ヴィシュヌ〉神の特徴は、10の化身があることです。
面白いのはヒンドゥー教の神〈クリシュナ〉や、仏教の開祖〈仏陀〉までもが〈ヴィシュヌ〉の化身とされていることです。
とても吸収力のある神ですから器が大きいといえますし、邪まな目で見てみるとかなり貪欲な風にも思えます。
①クールマ(巨大亀)
②マツヤ(巨大魚)
③ヴァーマナ(小人)
④ヴァラーハ(巨猪)
⑤ヌリシンハ(人獅子)
⑥ラーマ(コーサラ国王子・叙事詩ラーマヤナの主人公)
⑦パラシューマ(斧を持つラーマ)
⑧クリシュナ(クリシュナ神・牧女たちの誘惑者)
⑨ブッダ(仏陀)
⑩カルキ(未来世界の救済者)
マツヤ(巨大魚)とカルキ(未来世界の救済者)の伝説は、終末論のような印象です。
〈巨大魚マツヤ〉の話は、旧約聖書にある「ノアの箱舟伝説」とよく似た話です。
世界中が大洪水に見舞われるのを預言された、人類の始祖〈マヌ〉がノアの箱舟の如く、命を繋ぐ物語です。
〈カルキ〉は世界の終末に出現し、破滅に向う世界に蔓延っている悪を滅ぼし、新たな輝かしい黄金時代を築くとされています。
白馬に乗った騎士が颯爽と現れ、世界から悪を一掃し、新しく輝かしい世界を創るそうですが、さぞ壮絶なことになるだろうと想像し、黄金時代が訪れるなどと浮かれてはいられない恐ろしさがあります。
ヒンドゥー教の世界観では、世界は四つの周期で生成と消滅を繰り返しているのだそうです。
現在は末法にあたる第四期〈カリ・ユガ〉の時代にあたり、〈カルキ〉の出現する時代とのことです。
「マヌ法典」における、ヒンドゥー教の四つの周期=「ユガ」
第一期:〈クリタ・ユガ〉
正義と道徳のみがある時代で、人間は病気になることもない。
第二期:〈クレーター・ユガ〉
〈クリタ・ユガ〉の時代に比べ、正義と道徳が四分の一欠けた時代。
第三期:〈ドヴァーパラ・ユガ〉
世界の正義と道徳が半分になり、混乱が増した時代。
第四期:〈カリ・ユガ〉
正義と道徳が四分の一になり、思慮の無い人々が地獄行きの行為を平気で行い、人間から誠実さ寛容さ、慈悲の心が消え去ってしまう。
財産がすべての基準になり、欲望に支配される。
飢餓や災害がいたる場所で起こり、人々は悲惨な状態になる。
HanaAkari