このブログは私が想像で世界旅行に行ってみる、空想旅行記です。行ってみたい国や場所は尽きませんが、実際に全ての場所に行くことは現実的でなく、様々な事情で行けない場所もあります。そんな一切の事情を無視して、空想で世界各地に飛び出してみたくなりました。
【暗黒郷】ディストピアはノーサンキューですママ|空想@世界一人旅
ああ~、暗い、寒い、淋しい、苦しい…もう何も見えない…聞こえない…
次第に意識が遠のき、最後に一条の光が…
そして、私は目を覚ましたのです。
空想ガイドさんが、脂汗を流しながら息を切らしている私を心配な目で見つめていました。
「大丈夫ですか?」
「やっぱり、止めておいた方がよかったのではありませんか?でも、今から言ってももう遅いですね、まったく」
私は〈空想旅行〉をいいことに、「暗黒郷」=「ディストピア」に行ってみることにして、空想であるにも関わらず、心を崩壊させ、生きる屍と化してしまったのでした。

「暗黒郷」とは距離のある暮らしを送れている軟弱者が軽薄な行為でしたが、いかに自由に生活ができることが素晴らしいことだということを再認識できたようです。
空想ガイドが救い出してくれたから言えることですが、実は情けない事に諦めの境地に陥り、無感情のまま、ただじっと死を待っていました。
「暗黒郷」とは「理想郷」の反対の暗黒世界のことです。
反ユートピアの世界。
自由はなく、すべて強制的に管理され、体は生かされても、心は完全に踏みにじられた希望すらない世界。
力づくの武力で一方的に支配しようとする者は、自分と違う価値観や文化は認めず破壊してしまう。
人はどれだけ人に対して残酷になれるのでしょうか?

〈空想ガイド〉が珍しく饒舌に「暗黒郷」について語り出しました。
「残念ながら現実の世界にも〈暗黒郷〉は存在するみたいですねぇ、まったく、やるせないものです」
「神は自由意思を人に与えたとされていますが、自由だから人が人を殺したり、殺さずに精神的に打ちのめし、奴隷化したりすることが許されているとは思えません」
「神も出来ないことを人が平気で行うこと、人の手によって〈暗黒郷〉が現に存在していることは、きっと良くない事です、まったく」
「そんなことならSF映画のようにAIが支配する世界の方がマシなように思います」
「大罪の報いが一体どんなものなのかは分かりませんが、必ず取り返しのつかないことになるでしょうねぇ…」
「虐げられた魂には救いがあるでしょうし、あってもらわないとやるせなさすぎますが、大罪を平気で行える者は一体どうなるのでしょうか?神のみぞ知るですね、まったく…」

私はここでやっと口を挟むことが出来ました。
「超極悪、大罪人もママの胸に抱かれて無償の愛情に包まれると、目を覚ますなんてことはないでしょうか?」
………
私は自信ありげに「ママ」のところを強調したのですが、空想ガイドは無言でしたので、言葉を付け足しました。
「ママでも聖母マリアのような慈母のように、人の感情を完全に超越した母の胸に抱かれると悪魔も後悔の涙を流すことになりませんか?」
…………
「ママの愛を知らないから、そんなことするんでしょ、ママの愛ですよ、ママの」
「ママの胸に抱きしめてもらって下さい」
HanaAkari