このブログは私が想像で世界旅行に行ってみる、空想旅行記です。行ってみたい国や場所は尽きませんが、実際に全ての場所に行くことは現実的でなく、様々な事情で行けない場所もあります。そんな一切の事情を無視して、空想で世界各地に飛び出してみたくなりました。
【満州|中国】大義名分の影に思惑の坩堝、修羅たちが見た夢の国だったのでしょうか?|空想@世界一人旅
中国の東北部地域は第二次世界大戦前は、日本が事実上支配していた「満州国」がありました。
大日本帝国の傀儡政権下として統治されていた時代のことです。
空想旅行は空間は当然ですが時間の制約もなく旅行が出来ますので、タイムトラベルも楽勝です。
空想旅行社で「満州国」に行ってみたいとお願いすると「また、変なことを言い出したな、こいつは」と小声で聞こえてきました。
ただ空想旅行社は私の空想と持ちつ持たれつの関係ですので、話がややこしくなることは起こりません。
常にお互い様で成立している関係ですので、つまらないおべっかを使ったり駆け引きをする必要がないので楽です。
時空のトンネルを抜けた先には、広大な大地を蒸気機関車が走っていました。
「満州鉄道」でしょう。
あっ!
突然酷い爆音がし、機関車が横転し炎上しました。
これは1931年の「満州事変」の現場なのではないでしょうか?
この「満州事変」がきっかけになり満州国が建国され、そして日中戦争に発展し、さらに太平洋戦争に繋がっていきます。
もしかしてこのことがなければ、大戦争にならなかったのでしょうか?
革命、陰謀、策略、野望、理想、夢、欲望、ありとあらゆる人の野心の坩堝と化した満州国を考えますと、大きな爆発は避けられなかったのではないかと思います。
私はそう思いながら空想ガイドに話掛けました。
「空想満州」の地での空想ガイドとの会話
「空想ガイドさん、もしこの満州事変が起きなければ、太平洋戦争にはならなかったと思いますか?
空想ガイドが答えてくれました。
「どうですかね?この頃のここ満州には人々の思惑があり過ぎるように思いますんでねぇ、いずれ何らかの形で同じようなことになったのではありませんか?まったく…」
「思惑ですか?ここ満州は地上に王道楽土を建設するような志で建国されたのではないのですか?現に多くの日本人が新天地に期待して移住してきているではありませんか。」
空想ガイドは深い溜息を一つ付きました。
「王道楽土ですか…それが思惑というものではないのでしょうか?一部の大志を抱いた方々の思いは悪いとは思いませんが、どれだけ立派な志でも武力や強引な力で行うようなものは、結局は上手くいかないのかもしれませんねぇ…大日本帝国…まったく嫌な響きですねぇ…」
空想ガイドは続けました。
「一時的には良く見えても、そういったものの水面下では欲や野望がいつも以上に渦巻いているでしょうし、思惑が強ければ強い程、それとは反対の思惑も強くなって、衝突が激しくなるだけのようですしねぇ…まったく…どうすればいいのでしょう?」
空想ガイドの話は加速します。
「この時代の満州は、大義名分の裏でとんでもない人々の思惑の交錯があって、引きずり合い、足を引っ張り、引っ張られ、修羅の国の如くのように私には見えます」
私は悲しくなり希望を込めて質問をしました。
「でしたら夢や希望、大志を抱いて精一杯生きた人々は一体何だったのでしょうか?理想を抱かずにどうやったらより良い未来になって行くのでしょうか?」
少し感情的になった私に対して諭すような眼差しと共に、空想ガイドは言いました。
「正直分かりませんねぇ、まったくのところ。それは個人個人が自分の思惑を捨てて、純粋に全体のことを想って行動できたらなんて言ってもねぇ…母が子に抱く無償の愛のような…ああ~国なんてなければ手っ取り早いのですけど…そうだったら楽しみは少なくなりそうですし、私も職を失ってしまいますね」
空想ガイドはそう言って一人照れ臭そうに笑いました。
空の上から満州の町を眺めていた私と空想ガイドでしたが、空想ガイドは軽く町の方を指さし最後に言いました。
「どれだけ国や政治がおかしくても、大半の人々は日々、一生懸命真面目に生活を送っていますよね…修羅の国にあっても純粋に精一杯生きている方々が大勢いるのが、この世には幸いなところではないでしょうか?」
HanaAkari