「ウィルスの暗躍」 ジェームズ・ロリンズ著 を読んで

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ウィルス の暗躍〈読書感想文〉 〈ジェームズ・ロリンズ〉作品を読んで
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パンデミック以上の脅威は人間の欲望か⁉ ウィルスとの人間の向き合い方を示唆しているようでした。

一瞬、コロナウィルスによるパンデミックを思い出し、そのような内容かと想像してしまいますが、そういうものとは違う内容のものでした。

ウィルスに敬意を表している節を感じました。

ウィルスの可能性と人間のあり方を問うているようです。

それが、この「ウィルスの暗躍」では、手に汗握る臨場感のあるアクションとなって、説教めいたことなく楽しめました。

アフリカ中央部に位置するコンゴの密林地帯を舞台に、未知のウィルスの脅威と人間の欲望の脅威とが絡み合ったストーリーだと思います。

アフリカ

人間が未開のジャングルの奥地へと開拓の手を広げることで、これまでは世に出てくることが無かったウィルスを呼び起こすことになる、地球温暖化によって永久凍土や氷河が溶け、その中に眠っていた古代のウィルスが目を覚ます、そして何が起こるか分からない危険性がある、最近よく耳にする話です。

一方、ウィルスの遺伝子の一部は人間の遺伝子に組み込まれているという科学的事実もあり、人類の進化にはウィルスが一役買っていた可能性があるともいわれます。

実はそのような裏で暗躍しているのは、人間の欲望であり、ウィルス以上の脅威なのでは?

そんな印象を受けました。

物語の登場人物たちはウィルスの脅威と闘いながら、それ以上におぞましい人間の欲望と対峙していました。

ウィルス

刻々と無くなる時間、猶予のない限界の中で、未知のウィルスと人間の欲、残虐性と一進一退の攻防戦が繰り広げられました。

前のめりになって読み進めました。

そしてなにか嬉しかったのは、作者はウィルスを絶対的な敵としないで、拒絶することなく肯定的に見ているのだろうという気がしたことです。

人間とウィルスの共存を夢描いているのではないかと思え、人間のあり方に一石を投じたのかもしれません。

最後にはウィルスと人間の良い可能性を匂わせているようでもありました。

それをノンストップのアクション小説で、表現しているのですから凄いと思います。

Σ「シグマ・フォース」シリーズについて。

架空の隠密組織〈シグマ・フォース〉は、米国国防総省、秘密特殊部隊の名称です。

ワシントン

〈シグマ・フォース〉は、訳ありのはぐれ者なのに優れた能力は右に出る者がいない、そんな人材が集まって結成されています。

レギュラーメンバーはそれぞれ個性的で魅力があり、そこに準レギュラーメンバーやその時々に登場する人物が加わってきます。

物語によって主人公となる人物が違うのもこのシリーズの特徴です。

このシリーズは一度読み出すと止まらなくなり、夢中になって読んでしまうのが玉に瑕です。

寝不足になってしまいます。

快感を覚える程に面白く、緊急事態で一刻を争う展開に唾をのみ、どんどん世界に引き込まれてしまうのです。

伝説と現代科学とが融合したような舞台設定があり、謎に満ちた伝説、伝承に科学的な情報が精密に組み合わされていて、フィクションとは思えない現実感に、毎回息をのむのことになります。

そこに人間性豊かな登場人物たちの会話、人間関係、恋愛といった人間模様が絡まってくるから、さらに違った要素の面白さが重なって飽きることがありません。

単体でも十分に楽しめる小説ですが、時系列による流れもあり、登場人物の遍歴がシリーズを通して描かれていくのも見どころで、外伝もあります。

常に危険と隣り合わせの登場人物たちには「死」はいつも側にあり、出会いあれば別れもあり、このシリーズには本当に胸を鷲づかみにされる要素が詰まっています。

HanaAkari

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