「ミスト」 スティーブン・キング著 を読んで

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読書感想文〈ミスト〉 〈スティーブン・キング〉作品を読んで
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「霧の向こうに何かがいる⁉」見えない恐怖の中で、人々の心がたぶらかされる。

ホラー小説のキングこと、スティーブン・キング氏の作品は映画化されているものも多いので、どこかで目にする機会はあると思いますが、この「ミスト」も同様に映像化もされているものです。

私は映画から入り、面白かったり、気になったこと、映画鑑賞では理解できずに疑問を抱えた場合などは、原作の小説を読んでみることがあります。

また、その逆のケースもありますが、ストーリーに違いがあったりして、その違いについて自分なりに勝手な分析や評価をすることを楽しんだりもします。

この「ミスト」に関しては大まかなストーリーは映画と同じでしたが、最後に大きな違いがあり、私は原作の最後の方が、含みを持たせていて曖昧で気持ちの悪い所が好きかもしれません。

また小説の面白いと思うところは、登場人物の心のあり様を覗き見できますので、想像を巡らせやすいところです。

霧

この「ミスト」という世界は、スーパーに買い物に来ていた人々が、尋常でない恐怖の時を共に過ごしますので、人々の心が赤裸々にあぶり出されてきます。

霧に閉じ込められた人々が、白い靄の中にいる異様なものによってじわじわと恐怖のどん底に追い詰められていきます。

そこには常識では有り得ない現実や死があるのですが、それに対しての人々の向き合い方が様々で、そこに「人間」を表しているのだろう思いました。

死と直面する中でも、常識のある者は「そんなことはあり得ない」とこれまでの一般常識から合理的な判断を下し行動する者、「止めろ」と説得しようとする者、何も言えずただ見守るだけの者、そしてまともじゃない「死」を目の当たりにする人々。

とても文字には書き表せられないそんな状況の中でも、人々の腹の足しになるように楽しそうに肉を調理する者。

私にはこの部分が特に印象に残りました。

ミスター・マクヴィーは鶏肉を調理し続けた。食べている人がわずかしかいないということなど気にせず、料理をしていること自体を楽しんでいるふうだった。前にも述べたと思うが、ものごとに対処するやり方は、いろいろある。そんなふうに見えないかもしれないかもしれないが、そうなのだ。人の心とはそんなものだ。

ついには聖書から神や悪魔を持ち出し、神の裁きだ、この世の終わりだといったことを人々に吹聴する魔女までも現れる始末。

魔女に洗脳される者、冷静な判断をすることが出来なくなり、剝き出しの心は鋭利な刃物状態、争い、「人の心とはそんなものだ」とつぶやきが聞こえてきました。

魔女は魔女なりの尋常でない状況に対処する手段があり、それに同調し洗脳されるのもその人が選んだ対処のやり方なんだろうと思います。

「人の心とはそんなものだ」というのは同感ですが、だた自己満足の為に鶏肉を焼く男と、他の人を洗脳して自分の世界に巻き込む魔女となら、鶏肉を焼く男の方が無害なのでマシなように感じました。

悪意が無いからです。

魔女も自覚する悪意はないのかもしれませんが、変に人を巻き込むので質の悪いものがあるように感じます。

暗雲

なぜか随分昔のことを思い出してしまいました。

私が小学生の頃、おばあさんが癌で亡くなった直後の病室での出来事です。

見送った数人の家族が悲しみに暮れ、すすり泣き以外は沈黙しかない状況で、小さな従妹が突然、言葉を発しました。

「たこ焼き、食~べよ」

常識を少しは勉強させられてきた頃の私が瞬時に思ったことは、「こいつ、何言ってんだ、こんな時に」「頭おかしいんじゃないの?」でした。

しかし今はそう思わないだろうし、たとえそう思っても深く追求せず、たこ焼き程度のことなら「人の心とはそんなものだ」と終わらせるでしょう。

映画「ミスト」を見て

映像が綺麗なんですね。

私は「ミスト」の映画監督「フランク・ダラボン」氏と小説家「スティーブン・キング」氏の組み合わせの映画がとても好きです。

どれも物語として面白いのと、「フランク・ダラボン」氏の画面の作り方が、好きなんだと思います。

映画監督、脚本家「フランク・ダラボン」氏

携わった作品からホラー系が好きなんだろうと予想できます。

また、ホラーの中に「人の心」を掘り出して、表現しているのだと感じます。

映画「ミスト」の最後のシーンは原作と大きく違い、胸が詰まる最後でしたが、あえてそうしたのかもしれません。

「スティーブン・キング」氏原作の「フランク・ダラボン」氏監督の映画

・〈ショーシャンクの空に〉...傑作中の傑作。私が一番好きな映画です。

・〈グリーン・マイル〉・・・こちらも傑作。独特な世界観と「人の心」が魅力。

・〈ミスト〉・・・同じく傑作。ホラーと「人の心」が魅力。

原作は「スティーブン・キング氏」ではありませんが、〈マジェスティック〉という作品があります。・・・もちろん名作。

余談ですが、アメリカのテレビシリーズの〈ウォーキング・デッド〉ファーストシーズンも「フランク・ダラボン」氏が関わっている作品ですので、やはりホラー好きなのが感じとれます。

ホラー

HanaAkari

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