「手袋を買いに」 新見南吉著 を読んで

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手袋を買いに 〈日本人〉作品を読んで
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母狐の愛情と子狐の愛らしさにほっこりし、日本風の情景描写も新鮮でした。

国語の教科書で読んで以来でした。

懐かしさから読んでみました。

可愛らしくてあったかいお話で、人間も捨てたもんじゃない、人も動物も母が子を思う愛おしい気持ちに変わりがなく、温かいものだと再確認しました。

狐の親子が主人公ですが、お母さん狐の深い愛情に心を洗われるようでした。

初めて雪を経験した子狐の手が、かじかんでしもやけになってしまわないように手袋を買いに、狐の親子が人間の町に出掛けて行くのですが、空想のお話なのに、さも自然なことのように思えるのが面白いところです。

雪景色

お母さん狐は人間に酷い目に合った経験から、人間のことが恐いので町の中まで手袋を買いに子狐と一緒に行ってあげることができませんでした。

我が子の為に手袋を買ってあげたい気持ちと、それに伴う恐怖心で、お母さん狐はさぞかし悩んだことだろうと思います。

子狐に手袋の買い方を教えて一人で町に行かせてから、戻ってくるまでの時がどれだけ長く感じたろう、戻って来た時はどれ程嬉しかっただろうと想像すると、無事に子狐が手袋を買って戻ってきた時には「ああ~、良かったなあ~」そう思わずにはいられませんでした。

何も知らない純粋な怖い物知らずの子狐にとって、初めての人間との接触は人間の愛情溢れる良い面に触れることとなったことも嬉しい出来事でした。

きつね

物語は想像の世界なので、いわゆるファンタジー小説といえる作品ですが、日本風のファンタジーの表現が新鮮でした。

暗い暗い夜が風呂敷のような影をひろげて野原や森を包みにやって来ましたが、雪はあまりに白いので、包んでも包んでも白く浮かびあがっていました。

「風呂敷のような影」は日本的でいいですね。

お話の内容も、狐が人を化かすという言い伝えにも因んでいるようです。

そんな中にほっこりと母の愛情がしみじみとする、お母さんの温かいお味噌汁のような物語でした。

以前に読んだことのある作品を、改めて楽しむという遊びを見つけました。

昔に読んだことのある作品を、時間が経過して価値観や人生観にも以前とは違いがある今、再度読み直してみることが私の一つの楽しみです。

大半のものは内容は忘れてしまっていて、タイトル名と作者だけが記憶に残っている場合がほとんどですので、以前とは違う自分が新しい作品を読むような感じになることが楽しくて、私の遊び心に火を灯してくれました。

久しぶりに読み直してみると、忘れていたはずの内容が思い出されたり、その作品を読むに至った経緯なども思い出され懐かしさも堪能できます。

まさに一石二鳥のささやかな趣味を見つけた気持ちです。

また今では、著作権が消滅した作品が「青空文庫」という電子図書で無料で読むことが出来るので、大変ありがたいことです。

手袋

「青空文庫」とは

インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。

「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。

著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。

日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。

様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。

実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。

〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。

良い発見をしました。

HanaAkari

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