「始皇帝 中華統一の思想〈キングダム〉で解く中国大陸の謎」 渡邉義浩著 を読んで

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始皇帝(読書感想文) 〈日本人〉作品を読んで
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漫画「キングダム」と照らし合わせて古代中国の思想を知ることができ、現代中国の不思議の謎解きにもなりました。

日本人の感覚からすると中国という国は不思議に映りますが、そこには秦の始皇帝からの文化的な脈絡があるのだと教えてくれました。

文化、風習の違う人々が広い国土にひしめいて生活しているにも関わらず、なぜ秦は中華統一を果たすことができたのか?その背景にはどのような革新的な思想があったのか?その副作用は?など、歴史を辿ると見えてくるのはとても面白いことでした。

兵馬俑

漫画「キングダム」のシーンを題材にして説明されているところは、「キングダム」を読んだ人ならば、漫画のストーリーと符合してより分かりやすいと思いますし、歴史的背景を知ることでなお一層奥行きが出て、腑に落ちるものがあると思います。

「キングダム」のことを知らなくても、古代中国のことを分かりやすく説明してあるので十分に楽しめますが、「キングダム」と照らし合わせることで双方が引き立て合うので、素晴らしい錬金術が起こったみたいです。

古代中国から現代に至るまでの根底にあるものに、「法家」と「儒家」の思想が強く影響しているとありましたが、この二つは対立する位置にあるもののように感じました。

兵馬俑

古代中国の「法」は現代の法律とはかなり性質が違がったようで、「法」によって権力を一点に集約させる目的があり徹底して「法」の下に管理する、悪く言えばがんじがらめに縛るようなイメージがありました。

「法」に背けばどんな小さなことであれ徹底して裁かれ、処刑も当たり前ですから、恐怖から人々には一定の秩序が保たれます。

ですが、功績を上げれば必ず褒賞が与えられることで均衡を保っていたようでした。

忠犬になって励めば必ず出世するが、逃げ道はないといった感じですし、金の切れ目が縁の切れ目とも思えます。

一方、「儒家」のように人の在り方を問い、どちらかといえば人情派ですが、いかようにも解釈できるので社会は一向にまとまらない。

一人の人間として生きる尊厳はあるが、上手く立ち回って抜け駆けしたもの勝ち、結局正直者は馬鹿を見る。

そんな多くの人間が広大な土地に人種のるつぼのように暮らしている中国を、一括統治する為の一つの手段として、秦の始皇帝が形にしたのが「法」による支配だったようです。

万里の長城

その発想は現代の中国に繋がっているとのことでした。

中国独特の文化にはこういった歴史的背景があるのだということでした。

「法家」や「儒家」に対抗して「夢想家」が望むことは、古代中国には「諸子百家」と呼ばれる、多くの思想家が様々な知恵を残していますから、どれか一つに偏らずにそれぞれから良い所を掘り起こしてみて、融合させてみたら、また違った方向が見えてくるのかもしれないなんて思ったりします。

個人的には強権で一方的な正義を謳い続けるのには、限界があるように感じます。

相手は人間ですから…

HanaAkari

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