神から託された役目を果たそうとする、人間イエスの苦悩に震えました。
真相は分かりませんが、この書は霊界からの通信で自動書記されたイエスに本当にあった出来事を記しているとされています。
聖書のように時代と共にその時の都合で改ざんされたり、着色されていないものだと期待して読んでみました。
また一人の人間がいったいどのようにして、その時代の大半の人々の価値観からすると非常識だった、イエスの知った神の御心を人々に伝えていけたのだろうか?きっと苦悩があったに違いないと思うからこそ興味がありました。
「奇跡」とよばれる神の霊力を顕現する超人的な一面の他に、他の人と変わらない人間らしさが見えて、それが私には嬉しかったです。
彼は、愛、優しさ、正直、素直、当たり前な大切な心で、他の人々と同じように苦悩し、葛藤しながらも実直に生きた方だったのだと思えたからです。
それこそが本当の「奇跡」なんだと思います。
そうはいっても…生きていかないといけないし…といった言い訳が先に立ち、いつしか道をそれ、我が身優先の蟻地獄に落ちていることが多く、下手をすれば蟻地獄にはまっていることにすら気付かないことの方が多い気がします。
イエスは、本当は人として当然であるべき姿を、身をもって極端に示してくれたのかもしれません。
イエスの物語に触れて素直に受け止めると感動することが多いのは、たとえ普段は埃を被っていても心の奥底には、誰もが同じものを持っているということなのではないでしょうか?
「天国は自分の心の中にあり、外にはない」
「メシア」として憧れたり、期待するのではなく、それぞれがイエスのように本当の心のままに、悩みながらも生きてみませんか?と諭されているようで、人間イエスだからこそ伝わってくるものがありました。
崇め奉る神ではなく、人間の中にある神性を改めて教えてもらえたように思います。
イエスが狼から羊を守る場面が、人間を越えた何かと人間らしさが両方強く感じられるシーンでした。
羊飼いとイエスとアサフという共が羊の世話をしている時に、数頭の狼が羊を狙って集まってきました。
イエスは羊飼いに早く羊を安全な場所に逃がすように言いますが、自分の命が大事な羊飼いは真っ先に逃げ出してしまいます。
「羊飼いのくせに羊を見殺しにするのか!」と声を荒げるイエスに迫力があり、杖を持って狼に果敢に闘いを挑むイエスがいました。
非常に驚いた場面ですし、イエスらしいとも感じます。
さらにイエスは狼に倒されてもみ合いになり、血まみれになって闘います。
長年もの間、口のきけなかったアサフが、この時大きな叫び声をあげながら狼に石を投げつけてイエスを助けました。
イエスは助けに駆け寄ったアサフに「私よりも傷ついた羊を見てあげてくれ」と言って、気を失ったそうです。
人間らしさがありながら、人間を越えたものを感じた場面でした。
HanaAkari