「ジャッカル」は大半の人が避けてしまいたいと思う役割をしてくれているのですが、どうしても死肉を食べる行動が「死」と結び付くようです。
ラグビー中継を見ていて解説者が、頻繁に言っていたので耳に残っていますが、悪くない響きですし、改めて広くジャッカルに注目してみたくなりました。
このブログは言葉から連想したことを自由に書いています。時に勇気や喜びをもらえたり、慰められたり、癒されたり、言葉には力があるように思います。そんな素敵さや楽しさを少しでも表現できたら幸いです。
【ジャッカル】ラグビー中継から死と小説に展開です|言葉の小槌88
【ジャッカル】
「ジャッカル」
この名前はカッコイイですね。
犬やオオカミの仲間になるジャッカルは、犬のような見た目ですが、大きな耳がキツネのように三角に尖って立ち上がっているのが特徴で、なかなかカッコよくて可愛い動物です。
犬とキツネのハーフといった風貌ですが、雑食性でネズミ等の小動物や、爬虫類、昆虫、鳥、卵、果実、そして死肉(死んだ動物の肉)、何でも食べます。
この死肉を食べる習性が、同じように死肉を食べたり、他の動物のエサを横取りしようと隙を狙っている、ハイエナのイメージと被り、意地汚い動物のように見られがちで可哀相です。
実際は、ハイエナもジャッカルも自然界のお掃除役という立派な仕事をしている渋い動物です。
人の葬儀の形態にゾロアスター教やチベットでは、「鳥葬」という風習もありますが、こちらはハゲワシによって死人は天に帰って行きます。
「ジャッカル」は大半の人が避けてしまいたいと思う役割をしてくれているのですが、どうしても死肉を食べる行動が「死」と結び付くようです。
ジャッカルは「死の神」との結び付きが強い。
死肉を食べることが影響しているのか、ジャッカルは「死の神」と結び付いた動物になっています。
エジプトでは死の神としてミイラ作りの神であります、「アヌビス」はジャッカルの頭を持つ神です。
「死」のイメージです。
エジプトの神々は、下半身が人間で頭は動物で描かれていて、インドの神では「ガネーシャ」のような神ばかりで面白いですし、絵柄が芸術的なので好きです。
またインドの神の中にもジャッカルは登場しますが、こちらは神の乗り物(ヴァーハナ)としての役柄を貰ったようです。
インド・ヒンドゥー教の神々は、それぞれ乗り物に騎乗するのですが、「ジャッカル」を乗り物にしているのは、「チャームンダー」という「死の女神」です。
「死の神ヤマ」の妻といわれ、見た目は骨と皮だけのガリガリで、餓鬼のような姿で、とても醜いのですが、根底では「人々の苦しみを背負ってくれている」本当の美しさと強さを持った女神です。
そんな「女神チャームンダー」の乗り物が「ジャッカル」ですので、「死」というイメージの裏側では、人々がなるべく避けたい部分を担ってくれていますので、本当はとても有難い存在のようにも感じます。
インドの神の乗り物(ヴァーハナ)について書いた記事もありますので、興味のある方はそちらも読んでみて下さい。
ラグビーでは素早くボールを奪い取る、横取りのイメージからのネーミング?
日本でも人気が上昇しているラグビーに「ジャッカル」という技があります。
詳しくは分かりませんが、相手選手からボールを奪い取る行為のことを「ジャッカル」と呼んでいますので、これは動物のジャッカルが隙あらば獲物を横取りする行動から、触発されたネーミングなのではないかと?思いましたがあくまでも想像です。
ラグビー中継を見ていて解説者が、頻繁に言っていたので耳に残っていますが、悪くない響きですし、改めて広くジャッカルに注目してみたくなりました。
手に汗握って夢中に読んだ小説「ジャッカルの日」
昔、数年間バックパック旅行をしていた時に読んだ小説に「ジャッカルの日」があります。
バックパッカーの間では、自分が所持していて読み終わった本があれば、お互いに本の交換をして新しく読む本を手に入れるということが、行われていました。
最小限の荷物をバックパックに収めて旅行するので、みんな1~2冊の本しか所持していませんが、それを交換して回していくことで、読んだことのない本が手に入りました。
旅行者の手を伝って様々な本が、色んな人の手垢を付けて、ボロボロになりながら世界中を回っていたと思うと、本も旅していたんだと思えて可笑しいです。
この本の交換で大きな発見があったのは、選択肢があって交換する訳ではないので、自分の嗜好とは違った本が手に入ることで、それまで読んだことのない新たなジャンルの小説を読む機会になったことです。
日本で本屋さんに行ってあれこれと探しても、大抵は自分の好みの小説を選びますので、系統の似たような本が多くなりますが、外国の旅先では日本語の本が貴重ですので、交換には好き嫌いなど言ってられませんでした。
なので、自然とそれまでに読んだことのない小説を読む機会になり、こんな面白い小説があたったのかと新しい発見となった本が多くありました。
初めはそれぞれのお気に入りの本を選りすぐって、日本から持って出ている人が多いと思いますので、面白い本が多かったのかもしれません。
「ジャッカルの日」はまさに初めてそのようなジャンルの本を読んで、驚く程面白かったスリラー小説でした。
作者はフレデリック・フォーサイスでイギリスの作家です。
「ジャッカルの日」はフィクション小説なのですが、読んでいてノンフィクションのような感覚にさせられる内容でした。
スリル満点の「暗殺者ジャッカル」の話なのですが、次はどうなるんだろうと、手に汗握る展開に小説の世界に引き込まれ、無我夢中で読んだものです。
1973年に映画化もされていて、1997年にはリメイク版がブルース・ウィルス、リチャード・ギア主演で作られました。
旅行中にはもう一冊、フレデリック・フォーサイスの本を読みました。
「オデッサ・ファイル」というタイトルです。
こちらも「ジャッカルの日」と甲乙付けがたい面白さで、作品の中に引き込まれました。
共に機会があれば一度読んでみて欲しい小説です。
HanaAkari