「土の学校」 木村秋則・石川拓治著 を読んで

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土の学校〈読書感想文〉 〈日本人〉作品を読んで
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「土作り」は「心作り」の哲学のように思いました。

良い作物を作るには土作りが大切だという話はよく耳にします。

だけど良い土とはどんな土なのか?ずっと農業をやってきたけれども、そう尋ねられると答えることが出来なかったと木村秋則氏が語っていたことに好感を持ちました。

前人未踏のリンゴの無農薬栽培に取り組み、10年以上も実らない極貧生活の末、自殺までも考えた木村秋則氏。

今、肌で感じ取った経験を伝えてくれて、良い土とは何かを教えてくれているのはとてもありがたいことだと思います。

しかし、この書籍を読んだからといって簡単にそのように出来ないのだろうと思います。

日頃、良い土の立役者である、土の世界にいる微生物のことを意識して過ごしていませんし、目に見えないものにこそ真髄があるという、ある意味、非常識な感覚を頭は拒絶しがちです。

木村氏も語っておられましたが、地球上の生物で人間だけが生物としての感覚から遠ざかってしまっているみたいです。

リンゴ

どうしても人間都合になる農業ですが、いかに自然と調和させてその恩恵を受けとれるようにするかが大切なことなのだそうです。

本当は大地がその土壌に育つ植物を決めるのが筋なところを、人間に都合の良い作物を作るのですから不調和が起こって当然であり、そことどう上手く折り合いを付けていくのか?

自然との不調和によって起こる問題を、農薬や肥料によって強引に抑えつけているのが現代の農業のやり方ということでした。

土作りというよりも、もはや哲学のようです。

本当の「土作り」は「心作り」なのかもしれません。

土のことを大変面白く学べた以上に、考え方、生き方について教えを頂いた気がします。

唸らされた素敵な言葉の数々「心作り」

果樹

途轍もない数の生き物(微生物)が、土の中に生きている。

その小さな生き物にとって、ひと握りの土はまさしく自分たちの生きる世界であり、宇宙であったわけです。

農業に限らず、仕事というものは、自分の信念と責任においてなすべきものだと思います。誰か他の人に、後ろから背中を押されながら、いい仕事をすることなんて絶対にできません。

何かを押しつけられたら、誰だって嫌がります、病気や害虫は自然の摂理の表れなのだと思います。

今まではそれを農薬と化学肥料で抑え込んできました。

害虫とか益虫という言葉に惑わされてはいけない。自然の中には、善も悪も存在しないのです。生き物はみんな、それぞれの命を必死に生きているだけなのです。どんな生き物も、生態系の中で与えられた自分の役割を果たしているだけなのです。

連作障害は、病気ではありません。土の中の微生物層が単一化しているために起こる現象に過ぎないのです。

多種多様な生き物がいて、初めて生態系は守られる。

根っこをまず先に伸ばすことを考える。

それはリンゴにも、人間にも当てはまることだと思います。

たまに時計のことを忘れ、自然の時間を生きてみることも必要だと思うのです。人間だって自然の産物なわけですから。

HanaAkari

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