「檸檬」 梶井基次郎著 を読んで

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読書感想文〈檸檬〉 〈日本人〉作品を読んで
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陰のある悪戯と想像にある根暗な情緒が、微笑ましかったです。

共感するものがあり、とても好きな作品でした。

私は良いとか悪いとかと判断はしないようにしているのですが、時に心が闇に傾き、陰を居心地よく感じていることがあります。

心身が心地良い疲労感を通り越し、例えば仕事などで疲弊しきっている時には、華やかな陽の当たる場所よりも、日陰ならではの安堵に逆らわずに、そのままを過ごしている方が心地良いものです。

「檸檬」は読み始めからそんな匂いがし、場末の路地にあるような暗がりの趣きが感じられました。

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終おさえつけていた…

以前私を喜ばせたどんな音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくなった…

確かにそのような時はあります。

派手な色が眩し過ぎて目に毒で、くすんだセピア色に心が落ち着くのです。

影

作者はそんな心の状態を日常の一コマに重ね合わせて楽しんでいました。

整然とした綺麗な表通りにはない裏通りの趣ある光景、そんな中に突然、目を見張るヒマワリやカンナの花が咲いている一瞬とか…まだまだそんなものは序の口で、根暗な情緒のオンパレードでした。

うらぶれた果物屋で目に留まった「檸檬」の清々しさを堪能しながら、裏腹に悪戯心が湧いてくるのが微笑ましかったです。

そして、その「檸檬」を使ってちょっとした可愛い悪戯を決行します。

さらには悪意の無い、いけない想像をめぐらせていました。

表と裏、陰と陽、どちらが良いとか悪いとかではないのでしょうが、そのバランスが常に均等な状態にあることは難しいのではないでしょうか?

「檸檬」を書いた時の作者は、陰よりでバランスを上手にとっていたのではないのかなと思いました。

短い小説ですが、非常に情緒がある素晴らしい作品だと思います。

裸電球

無料の電子図書館「青空文庫」について

檸檬

インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。

「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。

著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。

日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。

様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。

実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。

〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。

良い発見をしました。

HanaAkari

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