「河童」 芥川龍之介著 を読んで

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河童〈読書感想文〉 〈芥川龍之介〉作品を読んで
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つまりは価値基準や常識なんて当てにならない、何が正解は河童も人間も分からない。

なかなかに可笑しな世界観でした。

チンプンカンプンなところはありながらも、まともに全部受け止めてしまうと、この物語の主人公である精神病患者のようになってしまいかねないので、適当な程度でちょうど良いのかもしれません。

精神病という病名を聞くと良くないイメージを持ってしまいますが、実際には何が精神の病なのかはっきりと明言できないところに、答えを無理やり見出そうとした結果、精神病患者という病名が出来たのではないでしょうか?

一般的な多数派の感覚からしての視点でしょうから、心の繊細な人間には、世間というものは生きにくい場所なのかもしれません。

なにかそのような心の中にくすぶっている気持ちの悪さを、芥川龍之介氏は河童のお話で伝えたかったのではないでしょうか?

河童

人間の世の中では繊細な精神の人が、河童の世界では一般的であるかのようにして、物事の価値基準や常識といわれているものは当てにならないもので、本当のところは河童にも人間にも分からないのだと、そんな胸の内にある葛藤のようなものを妖怪の河童に託したのかなと思いまた。

だから河童は、人間が正義とか人道とか真面目に思うようなことを聞くと、腹を抱えて笑い出すんでしょう。

中でも主人公である人間と河童との間で、産児制限のことが話題になった時のエピソードは好きな部分でした。

人間が産児制限をすることに対して河童が笑ってこう言いました。

「しかし両親の都合ばかり考えているのはおかしいですからね。どうもあまり手前勝手ですからね」と。

その反対に河童のお産のやり方も独特で可笑しいのですが、河童の世の中では至極当たり前のことのようでした。

河童ガール

産気づいているお母さん河童のお腹の中にいる赤ちゃんに対して、お父さん河童は「お前はこの世界に生まれてくるかどうか、よく考えた上で返事しろ」と尋ねるのですが、可笑しいように見受けられますが、生まれる前の赤ちゃんの時から自主性を問い、尊重しているところに、いかんともしがたい面白味がありました。

お腹の中から「僕は生まれたくありません…」と答えた赤ちゃんですが、産婆によって強引に出産させられるのは本当に可笑しかったです。

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芥川龍之介
芥川龍之介

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良い発見をしました。

HanaAkari

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