「ごん狐」 新美南吉著を読んで

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読書感想文〈ごん狐〉 〈日本人〉作品を読んで
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すれ違う情が切ない悲しみを湛えて…童話の中にあるものが…このようなことになるなんて…

「ああ~、童話なのにすれ違うんだぁ~、切ないなぁ~」

これが私が「ごん狐」を読み終えた時の率直な感想です。

小学校の国語の教科書で読んで以来、何十年かぶりに読んでみましたが、内容は憶えていなかったので、少し戸惑う気持ちになり動揺しました。

切ない展開が悲しくて、もどかしいのですが、当然といったら当然の出来事ともとれるので、口惜しい限りです。

良かれと思って行った行為がありがた迷惑になり、誤解を生むことは狐でなくてもよくあることです。

心根の悪くない狐の「ごん」が、人以上に情に篤いものですから、「ごん」と人間の「兵十」が、すれ違いを繰り返すことの問題点は何処にあるんだろうと考えてもみましたが…

あれこれ教訓を探して賢明に生きることは大切ですが、時に下衆っぽくて未熟だけれども、あどけない想いの方に共感してしまいます。

きつね

狐の「ごん」は人間の「兵十」のことを想って、陰ながら贈り物を届ける行為を繰り返すのですが、「兵十」の友人は、これはきっとは神様からの贈り物だから、神様に感謝するべきだとアドバイスをしました。

それを聞いていた「ごん」が「そいつはつまらいことだ。俺が贈り物をしているのに神様にお礼をいうなんて、引き合わない」と心に感じてしまうのですが、そら「そのようにも思うよな」なんて同情もありました。

「見返りを求めるからそう思うんだ」と諭すような綺麗ごとも大事ですが、そんなことは気にもかけず、まず相手のことを想って情のある行動をしたからこそ、そんなことも言えるのだと思います。

まず相手を想う気持ちがあってのことですから。

しかし、物語はすれ違いのまま、切ない余韻を棚引かせて終わりました。

以前に読んだことのある作品を、改めて楽しむという遊びを見つけました。

昔に読んだことのある作品を、時間が経過して価値観や人生観にも以前とは違いがある今、再度読み直してみることが私の一つの楽しみです。

大半のものは内容は忘れてしまっていて、タイトル名と作者だけが記憶に残っている場合がほとんどですので、以前とは違う自分が新しい作品を読むような感じになることが楽しくて、私の遊び心に火を灯してくれました。

久しぶりに読み直してみると、忘れていたはずの内容が思い出されたり、その作品を読むに至った経緯なども思い出され懐かしさも堪能できます。

まさに一石二鳥のささやかな趣味を見つけた気持ちです。

また今では、著作権が消滅した作品が「青空文庫」という電子図書で無料で読むことが出来るので、大変ありがたいことです。

キツネのお面

「青空文庫」とは

インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。

「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。

著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。

日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。

様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。

実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。

〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。

良い発見をしました。

HanaAkari

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