「悪魔」をも飼いならす程の「芥川節」に、うなだれてしまいました。
ズバッと完結する短編小説のお手本のようなのですが…芥川龍之介氏の意地の悪いところは、読後感はズバッと爽快にさせないで、否応なしに斜め向こうから読み手の心に、「あなたはどうですか?」と訴え掛けてくるものを含んでいることです。
綺麗な薔薇には棘がある、華やかな模様のキノコは毒キノコ、まさにそんな意地悪を仕組んでおいて、こっそりと笑みを浮かべている姿が目に浮かびました。
心が清浄なばっかりの人間はいないでしょう?
あなたバテレンだったらそれくらい分かっているはずでしょう?綺麗ごとで誤魔化してはいけませんよ、悪魔の正体は分かっているのではありませんか?
これはバテレンに対する挑発なのか?皮肉なのか?
悪魔の言葉が意味深でした。
バテレンの前に懺悔をするかのようでした。
「私たちは何時でもそうなのです。堕落させたくないもの程、益々堕落させたいのです。これ程不思議な悲しさが又と他にありましょうか…」
合わせ鏡の天使と悪魔なのでしょう。
そして…悪魔とは…
これは良い意味で、本当にいやらしい物語です。
無料の電子図書館「青空文庫」について
インターネットの電子図書館が「青空文庫」です。
「本を電子化して、誰でも読めるようにしておくと面白い」という考えから始まった取り組みで、ボランティアの方々のお陰で成り立っています。
著作権が消滅した作品が集められますので古い作品が中心になりますが、古典の名作が無料で読めることは本当にありがたいことだと思います。
日本の名立たる文豪の作品が軒並み揃っていますし、どの時代になっても色褪せない機知に富んだ作品は、後世まで残していきたいものですので、読みたい時に誰でも読めるという発想と、その取り組みは素晴らしいの一言に尽きます。
様々なテキストで読むことができるようですが、私は愛用している電子書籍〈ブックライブ〉で無料で購入できるのでそちらで読んでいます。
実を申しますと〈ブックライブ〉で0円で購入できる書籍を発見したことから、「青空文庫」の存在を知りました。
〈ブックライブ〉も有料の同じ書籍を取り扱っているにも関わらず、「青空文庫」が読めるように取り計らってくれているのにも好感が持てます。
良い発見をしました。
HanaAkari