- クタ〈Kuta〉
〈クタ〉はバリ島の繁華街で、旅行者が多く集まる中心地でした。リゾート感あり、お店あり、遊び所ありの場所でした。ブロモ山からのバスで一緒に到着したオランダ人女性2人組とデンマーク人男性1人、私達日本人男性2人で一軒家のような宿泊場所をシェアして、数日間滞在しました。〈クタ・ビーチ〉も有名です。
- ウブド〈Ubud〉
〈ガムラン音楽〉〈ケチャダンス〉など静かな田舎町が観光地になりながらも、落ち着いたたたずまいのままでありました。本当に素晴らしい場所でした。インドネシアで一番気に入った場所です。不思議と心から落ち着け、大好きになりました。 - ティルタガンガ〈Tirta Ganga〉
棚田が素晴らしいとのことで、ロンボク島からのウブドに戻ってくる途中に立ち寄りました。ウブド滞在時から友人とは嗜好が違ったので別行動をすることが多くありましたが、ここも一人で行きました。
このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。
【ウブド】バリのラブリーマジック|旅の玉手箱 インドネシア編-8
【ウブド】
私にとってウブドという場所は特別に気に入った所です。
色んな場所に行きましたが、訪れることが出来て良かったと思う場所の上位になると思います。
落ちついた町、人々、伝統音楽や舞踊が観光化されているけれども、商業化に偏って風土の持つ良い雰囲気が損なわれておらず、ただウブドという場所に居るだけで癒される感じがしました。
伝統工芸や美術などの芸術の町というところも影響していると思いますが、おめでたい発想かもしれませんが、「ここ知っている」といった、初めて訪れたにも関わらず、懐かしくて心が落ち着く感覚になったのでした。
そのような感覚になった場所は、ウブド以外ではインドのラダック地方だけです。
いわゆる過去世で、その場所に存在していた時の記憶が揺さぶられたのかもしれません?
証拠はないですし、勝手な思い込みかもしれませんが、なんかそのような感慨深い気持ちになって、想像の翼が羽ばたいていたようでした。
なので私にとっては特別な場所になりました。
芸術の町だということもあり、宿の近くにあった小さなバティック(ろうけつ染め)の工房で、バティック製作を体験できたので、自分のオリジナルのデザインの考案から、蝋で絵付け、染めと、夢中で没頭しました。
友人はバイクを借りて島中を観光していましたが、私は観光は適当に、バティック製作にのめり込んでいました。
もちろん職人さんのようには上手くできませんでしたが、自分自身では満足のいくバティックが作れたと思います。
ラブリーなウブドのゲストハウスと、「トッケイ」ヤモリ
ウブドで宿泊したゲストハウスがとてもアットホームで、居心地が良かったのが第一の幸運で、相性の良いゲストハウスに出会えるとグッと旅の魅力が増すものです。
飛び込みで訪ねたゲストハウスでしたが、オーナーご夫妻が自宅の一画にゲスト棟を建てて経営していました。
通りから少し奥に入って行くと、右手にオーナー家族の住む家があり、草木が織りなす南国のバリガーデンをさらに奥に行った先に、ニ棟の小さな平屋がありました。
そこがゲスト用の部屋ですが、一度に泊まれるのは二組のゲストだけになる、可愛いゲストハウスでした。
南国の草木が絶妙なハーモニーで植わっていて、家の人は月桂樹などの葉を庭の木から摘んで、料理に使っていました。
そのような自然と共にある生活が素敵で羨ましく感じましたし、バリガーデンの生命力が溢れているような植栽にも憧れます。
都会暮らしで意識しなくなって忘れている大切な事が、当たり前の日常の中にあるようで、それが自然に行われているのが、本当にラブリーでした。
大きなヤモリ「トッケイ」が可愛かったです。
電灯の明かりが少ないウブドの町では、日が暮れてからの就寝時間も自然と早くなりました。
夜、寝ていると「ケタケタケタケタ、トッケイ!」「トッケイ!」という鳴き声がしました。
初めて聞いた時は、鳥?の鳴き声かな?オウムのような人の声真似をする、喋る鳥を飼っているのかな?なんて思いながら寝てしまいました。
次の日に「鳥飼ってるの?」と聞いてみたら、「いいえ、なんで?」という返答だったので、「あのトッケイ!」という鳴き声の正体は何なのかと尋ねてみたら、ヤモリだと教えてくれました。
私はヤモリやカエルが好きですし、子供の頃、池の畔に住んでいたので、家の中に侵入したヤモリもよく見ましたがヤモリってあんな大きな声で鳴くものなのか?とそれだけは解せないでいました。
その夜はしっかり観察してみようと思い、ベッドに横になりながら天井をじっと見ていたら、どこからともなく大きなヤモリが入ってきて、天井に張り付きながら「ケタケタケタケタ、トッケイ!」と大きな声で鳴きました。
声の正体はこいつだったのかと、疑問が晴れて嬉しかったのと、日本のヤモリに比べてかなり大きくて、カラフルなブツブツ模様で、地味な日本のヤモリよりも派手な奴でした。
名前が「トッケイ」というヤモリです。
鳴き声そのままのベタなネーミングですが、可愛いトッケイヤモリでした。
ウブドでは色々なものがラブリーでした。
夜は「ケチャダンス」と「バリ舞踊」を堪能しました。
ウブドの町では連夜、ケチャダンスやバリ舞踊の演劇が行われていました。共に伝統的な宗教儀礼としての民族舞踊を、観光用として演出したエンターテイメントです。
夜のとばりが降りてから僅かな灯りの中で演劇は行われました。
民族舞踊の独特な動きと、民族音楽ガムランの生演奏の音に陶酔する時間でした。
宿泊した宿のお母さんから、「今夜の演劇は娘が出場するのよ」などと教えられると、なおさら見に行きたくなるものでした。
ケチャダンス
トランス空間へ引きずり込まれた感じでした。
「チャ、チャ、チャ、チャ、ケチャ、ケチャ、ケチャ………」円陣を組んだ上半身裸の男性たちが、合唱しながら、大地の女神に、全ての自然の精霊に、尊厳を称えるかのように、這いつくばったり、天を仰いで手を挙げたりします。
元々は呪術的な踊りだったようですが、外国人の考案で観光用の踊りとしてアレンジされたものが現在のケチャダンスのようです。
原型がシャーマニズムの呪術的要素を含んでいるので、催眠作用があるのか?薄暗い中、松明の灯りのもと、独特の波長と空気感で、そこにある空間に精神も酔いしれました。
私は自ら独特の世界観にトランスしたい願望がある質なので、ケチャダンスは麻薬に近いような妙薬のような世界観が特に心地よかったのかもしれません。
バリ舞踊
古代インドの叙事詩ラーマヤーナの物語をモチーフにした演劇ですが、BGMとして演奏される生演奏のガムラン音楽の調べが独特で心地良いのと、踊りの動きのユニークさに目が釘付けになりました。
ガムラン
心地良い小刻みな金属の音が目立って聞こえるような印象でした。
鉄琴のような音や鐘のような音です。
それと竹の楽器の音が合わさって独特な音楽の世界がありました。
竹笛や木琴のような竹琴の「リンディック」による音です。
この竹製の楽器だけの演奏も自然で心地の良いものでした。
レゴンダンス
女性ダンサーが派手な飾り物を装飾した衣装で、ガムランの音楽に合わせて独特の動きを見せます。
特に目の動きと指の動きが凄くて、見入ってしまいました。
しなやかな体の動きと共に、目玉だけがゆっくりとギョロリと左右に動いて、黒目の目力がもの凄く、視線が合うと少し身を引きてしまうくらいでした。
ゆっくりと踊りながら目でも演技していました。
さらに手の指の表現が見どころで、ピンと張った状態で鋏のように動くのですが、あれはまさに修練によって可能になった努力の結晶のような動きだと思います。
指の動きを真似してやってみようとしましたが、指が引き攣りそうになってできませんでした。
ピンと反り返した状態の指を揃えたような状態で、鋏のようにゆっくりと動かしていたのですが、私は指がバラバラに離れてしまい鋏状にできません。
その鋏状態にしたの指のまま、ピンと張ったまま蟹のように動かしていましたが、どれ程指先に意識を集中させているのだろうか?引き攣らないのだろうか?と思いました。
独特の指の動きだけでも見入ってしまいましたが、それと同時に目玉の動きと体の動きが合わさっているのですから尋常ではないはずです。
優雅な踊りですが、裏には相当の努力があるはずで、まさに積み重ねた練習の賜物ではないでしょうか。
踊りの動きだけでも素晴らしいのに、そこに目玉の芸と指先の芸が組み合わさっているのですから。
単体でも一つの芸として通用するような事を三つも同時に行っている、凄技に感動でした。
バロンダンス
ガムラン音楽と共に「聖獣バロン」が物語を紡ぎます。
バリ・ヒンドゥーでは、バロンとは獅子の姿をした聖獣で森の王、善の象徴とされます。
その「聖獣バロン」と悪の象徴の「魔女ランダ」とが、永劫の戦いを繰り返すという伝説があります。
バロンダンスは、聖獣バロンと魔女ランダの果てしない戦いの物語の舞踏劇です。
バロンの姿は日本の獅子舞とよく似ています。
唐草模様の獅子舞の獅子が、派手なバリ・ヒンドゥー的な獅子の姿になり、豪華な獅子舞といった風でした。
バリ・ヒンドゥー版の獅子舞と言えるかもしれません。
HanaAkari