このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。
【バター茶】伝統の中に知恵あり機能的なお茶|旅の玉手箱 飲み物編-12
【バター茶】
私はチベットには行ったことはありませんが、チベット文化圏では〈ブータン〉を少しかすめたことと、インドの中にあるリトル・チベットと呼ばれる〈ラダック〉へは、三度訪れたことがあります。
そこでチベット文化に触れることになったのですが、本当にありがたい事に〈ラダック〉では地元の人との良縁に恵まれて、とてもお世話になりよくして頂く機会が多くありました。
あちらでのおもてなしは〈バター茶〉でした。
家にお邪魔したり、宿泊させて頂いた時には必ず温かい〈バター茶〉を頂きました。
チベット紋様で装飾された趣のある専用の撹拌機で、お茶とバターと岩塩を攪拌して作るのですが、その作業は結構体力を使うように見えましたが、必ず女性が行っていました。
小さな茶碗に注いでくれて、何杯も飲むように勧められました。
塩味がかなり感じられ、バターの香りも癖があるので、イングリッシュガーデンでロイヤルミルクティーを嗜むといったお洒落さはありません。
しかし、素朴な笑顔と共に人の手から注がれる〈バター茶〉とそこにある心は、他には替えることの出来ない美味しさでした。
味に関しては私は普通に美味しく頂けたのですが、苦手だという旅行者も多くいました。
癖がありましたから、味覚の反応は大きく左右されると思います。
〈バター茶〉の機能的な作用
〈ラダック〉は標高3500メートル前後あり、非常に乾燥した気候でした。
〈バター茶〉を飲むと、乾燥で失われる水分と塩分が一緒に補給でき、バターの脂肪分で唇の乾燥を防ぐことができます。
温かい〈バター茶〉を飲みながら、合理的に水分と塩分を補給し、さらに唇には自然にリップクリームが塗れてしまうという、環境に適応した伝統的な知恵の凄いところです。
私が〈ラマユル〉という村で宿泊させて頂いた家では、奥さんがバターを顔や手に塗り、保湿クリームのように利用しているのを見ました。
HanaAkari