旅の玉手箱【あさっての方向に】〈アクシデント編-4〉

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このブログは私がバックパッカーとして、1997年9月20日出国~1999年11月16日に帰国するまでの間に訪れた場所を、四半世紀後の私が思い返してみたら、一体何が出てくるのだろうか?という好奇心から古い記憶を辿り、出てきたものを書いてみることを試みたものです。

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【あさっての方向に】違う列車に…乗ってしまったしくじり|旅の玉手箱 アクシデント編-4

【あさっての方向に

インドのアーグラで〈タージ・マハル〉を見て大感動し、次はヒンドゥー教の聖地中の聖地と言われ、バックパッカーの間でも、あれこそ「The インド」と言える場所だと聞かされ続けていた〈バラナシ〉に向かった時のことです。

〈バラナシ〉行きはとても楽しみで、〈アーグラ〉から乗る寝台夜行列車に乗れば明日には〈バラナシ〉だという日がついにやってきました。

タージ・マハル

念には念を入れて予定時間よりもかなり早くにアーグラ駅に行きました。

インドでは日本の常識は一切通用しないことが分かってきていたので、何事も余裕を持って臨むの方がストレスが少なくすむコツでした。

とにかく思い通りには事が進まないことが多かったので、それも踏まえた余裕のある時間割は不可欠でした。

しかしどこまでいっても摩訶不思議なインドの底の深い文化は理解不可能な部分はあるにしても、あの時はまだまだインドをそつなく旅行する為に必要なことを学習しきれていなかったのです。

そのいくつかの要素が重なって、冷や汗ものの失敗をしてしまいました。

〈アーグラ〉から〈バラナシ〉へ向かう列車に乗ったつもりが、南インドの〈チェンナイ〉行きの列車に間違って乗ってしまい、列車が走り出してから気が付いたものですから、もうどうしようも出来ませんでした。

思い起こせばインドで長距離列車を利用するのは3回目で、これまでは〈カルカッタ〉から〈デリー〉、〈デリー〉から〈アーグラ〉と、すべて出発地が始発の列車に乗ったので、途中の通過地点から列車に乗るというのは初めてだったのです。

アーグラ駅で列車を待っていると、左右どちらのホームにも結構な数の列車が到着しては、乗客の乗り降りがあり、次に向かって発車して行くという当たり前の光景が繰り返されていました。

ただその当たり前がとても不安だったのです。

到着した列車が何処行きなのかがさっぱり分からず、いざ列車が到着してもどの列車が正解なのかがはっきりと分かりませんでした。

英語のアナウンスはよく聞き取れないですし、ほとんど分かりませんでした。

何よりも迂闊だったのは、人に聞けばいいやと高を括っていたことです。

予定の時刻に列車が到着したので、近くにいたインド人に〈バラナシ〉に行く列車かどうかを尋ねたら、「そうだ」と二つ返事で教えてくれたので、安心して列車に乗り込みました。

予約してある寝台座席のある車両を探して車内を移動する間に列車はアーグラ駅から発車していました。

目的の座席に着くとインド人らが我が物顔で座っているので、またいつものインドのことだと、溜息をつきながら「そこは私たちの座席ですよ」なんて偉そうに言ってしまいました。

すると向こうも「私たちの席だ」と一向に譲らないので、どうだと言わんばかりに持っていたチケットを見せました。

するとインド人らは私らのチケットを見て、爆笑し始めたのです。

「あんた、これは違う列車のチケットだよ」

「この列車は南インドの〈チェンナイ〉行きだよ」なんて言われたのです。

恥をかいたこと以上に、事の重大さに顔が青ざめました。

東に向かうはずの列車に乗るはずが、南に向かっている行き先が全然違う列車に乗ってしまったのです。

明日には〈バラナシ〉に着くどころか、あさっての方向に向かってしまいました。

バラナシ
バラナシ

しかも次に停車する駅までは数時間も列車は止まりませんので、一体どれ程の距離をまるで間違った方向に進んでしまうのだろうかと想像するのも怖くなりました。

当然、私たちの座席はないので車両の連結部分の片隅に身を置きながら途方に暮れました。

たとえ次に泊まる駅で降りたとしても、引き返すなんて芸当はできませんし、当てもありません。

ただあの時は幸運が味方してくれました。

暇つぶしに目的地以外の所もガイドブックを読んでいたことが功を奏し、次に停車する駅が〈ジャーンシー〉だと聞いた時に、その地名に見覚えがあったことを思い出したのです。

〈ジャーンシー〉はエロチック遺跡のある観光地〈カジュラホー〉に向かうためのアクセス拠点として紹介されていました。

さらに〈カジュラホー〉から〈サトナー〉に移動し、列車で〈バラナシ〉に向かう手段もあると紹介されていたのが不幸中の幸いで、急遽イレギュラー対応で〈カジュラホー〉観光を組み込んだ旅行プランに組み替えることが出来たのでした。

ガイドブック「地球の歩き方」様様でした。

カジュラホー
カジュラホー

インドのことをよく知らず不注意だった点について

このあさっての方向の列車に乗ってしまうという、しくじりを犯してしまった理由を分析してみました。

インドの列車は定刻通りに到着しないことが、普通だということに慣れていなかった。

それからインドの列車には相当数乗りましたが、定刻通りに運行することに出くわすことはありませんでした。

あの頃はそこまでルーズだとはイメージ出来ていなかったので、どこかインドタイムをナメていたのだと思います。

なので、定時にやってきた列車が目的の列車だと思い込んでしまったのでした。

まともに来ないことを前提に、物事を考えることが出来なかったことからのしくじりでした。

「郷に入っては郷に従え」という言葉の通り、インドに行ってはインドを知り、日本の常識を捨てて物事を考える必要があったのです。

シヴァリンガ

尋ねるべき人を選ぶ必要がありました。

日本の感覚だと道を尋ねたりした際に、相手の方が知らなかったり、分からない場合は「知りません」「分かりません」と返答するので、てっきりインドではそうじゃないということが想像できていませんでした。

これも何度も繰り返し失敗したことで気が付いたことですが、インド人は「NO」を言わない傾向にあるようでした。

インド流の気遣いなのでしょうか?「分かりません」とか「知りません」とは絶対に返答しないようでした。

なので、「YES」といったり、でたらめな事をまことしやかに教えてくれるのでした。

これは何度も道を尋ねては、まったく当てにならなかったことや、明らかに返答が滅茶苦茶だったことから気が付いたことでした。

初めの頃はインド人は嘘つきだと決めつけてしまいましたが、どうも嘘を言っているつもりはなく、インド人の特徴のようでした。

なので列車のことを尋ねる際は、誰に尋ねてもたとえ分からなくても何かしらの答えを返してくるので、列車のことが分かっている駅員に尋ねるのが唯一の正解だったのです。

尋ねていいのは唯一、駅員のみというのが正確かもしれません。

むやみやたらに聞けば、インド人からは嘘を言っているつもりはなく、悪気もないのに、嘘の返答が返ってくるということが起こるのでした。

文化の違いですね。

これが分かるまでは、たとえ旅行でも相当苦労しました(笑)

HanaAkari

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